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時事戦略レポート |
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本日の株式市場は、米国株の下げ止まりや為替の円安傾向にも反応せず、結局は日経平均が12連敗となりました。
純粋な連敗記録としては、1954年4月28日から5月18日の15連敗に次いだ記録となり、朝鮮戦争時代までさかのぼらないとないということですから、時代背景を考えても当時の記録はあてにならないと思いますので、新記録と考えてもよいと思います。
近年の相場ではない日経平均の12連敗ですが、連勝、連敗をもとに投資家心理を考えるテクニカル指標であるサイコロジカルラインでは、ついに0勝12敗となりました。
サイコロジカルラインとは、上昇が続けば投資家が強気に傾き、下落が続けば投資家が弱気に傾く心理を数値化したものです。「サイコロジカル」とは「心理的な」という意味で、強気一辺倒となれば一旦は高値をつけ、弱気一辺倒になれば一旦は底値をつけるということで投資タイミングを計るテクニカル指標です。
個別銘柄ですと連敗が長く続くこともあるのですが、日経平均やTOPIXのようなたくさんの銘柄を平均した指標ではめったに連敗が続くことはなく、ましてサイコロジカルラインが0%になったことは記憶にないことです。
したがって、「もうテクニカルではいつ反発してもよいタイミング」となるわけですが、テクニカル指標というのはある程度通常の相場で使える指標です。つまり、過去に例がないほど割安になったからといって、単純に底値にはならないこともあると思います。
むしろ反対に考えれば、通常のテクニカル分析が利かない相場展開ということは、需給が崩れる可能性があるかもしれないということです。
信用取引の投げ売りや見切り売りが増えて、一方の買い手が不在となりますと、売りに大きく傾いて株式市場の需給が崩れてしまいます。したがって、テクニカル指標も過去にない水準まで動き、このようなときの市況解説などは「テクニカル的にはいつ反発してもよい」という解説が目立ち始めます。
また、需給が壊れてしまえば、決算内容や財務内容などのファンダメンタルズ分析も関係なく売られてしまいます。お金が必要でどうしても換金しなくてはいけないときに、企業分析をすることはないと思いますから、いくらでもいいから売るという行動が需給を壊すことになります。
そして、需給が壊れたときに起きるのが、セリングクライマックスです。セリングクライマックスといいますと、株式市場が総悲観になって出来高を伴う大きな下落という現象だけを見て解説することもありますが、実際には前述したような「テクニカルやファンダメンタルが利かない」状態になって起こることが多いと思います。
今年の3月に株式市場が大きく下落して今年の最安値をつけた直前には「株価の歴史的な割安水準」という記事が散見されていたのを覚えているのではないかと思います。PERなどでは歴史的な水準だったにも関わらず連日下落を続け、日経平均が12000円を割り込んで下げ止まったわけです。つまり「ファンダメンタルが利かなかった」あとにセリングクライマックスが起きたといえます。
本日まで日経平均が12連敗となったわけですが、この間の下落を振り返りますと大幅下落となった日はそれほど多くなく、どちらかというとじりじりと下がっている印象です。トータルでも12連敗で日経平均が10%も下落していないですから、歴史的な連敗でも下げ幅はそれほどではないといえます。

しかし、過去にない下がり方をしている株式市場といえますから、反発のきっかけはセリングクライマックスのように売り一辺倒に傾いてアク抜けすることになる可能性もあると思います。
ただし、セリングクライマックスのような下落は一日二日ガマンすれば反発することが多く、このような急落のときに相場を見ていると怖くなって投売りしたくなりますが、振り返ると底値で売ってしまったということも多いタイミングです。
むしろ、歴史的な連敗が続いている株式市場がセリングクライマックスのような下落になったのであれば、下落の最終局面と見て反発を狙って冷静に買い向かうチャンスでもあると考えます。
レポート担当 : ケンミレ株式情報 市原義明
軟調な展開が続いている株式市場ですが、相場展開にあわせて裁定買い残の整理も進んでいます。東京証券取引所が発表した先週末までの裁定買い残高は金額ベースで6週連続の減少となり、約3ヶ月半ぶりの低水準となりました。
裁定取引は日経先物と日経平均との差を狙った取引で、割高になった先物を売り、割安な現物を買って成立する取引です。この裁定取引を組んだときに買った現物株が裁定買い残となります。東京証券取引所が発表しているのは、先週末までに残っている裁定買いの現物株の量ということになります。
裁定取引は、相場上昇時ですと先物が先行して上昇しやすくなりますから、裁定取引による現物買いが入りやすくなります。一方で、相場下落時には先物が先行して下落するので、先物と現物の差が縮まり、裁定取引を清算する売りが現物に出ます。
このような裁定取引に絡んだ売買のことを「裁定買いが相場を押し上げた」「裁定解消売りで下げが加速した」などと解説される部分です。
裁定買い残は先物の清算日(SQ)とあわせて解消されることも多いのですが、株式市場全体の先高感が強ければ、SQ時に先物だけ次の期間へ乗り換える(ロールオーバー:例えば日経先物6月限を売って9月限を買って乗り換える)が進んで、裁定買い残はそのまま積み残されることもあります。
「SQで株式市場が荒れるのでは?」という観測が出るのは、裁定買い残が大量に積みあがっていて、一気に解消売りが出されて相場が急落するということを警戒していることです。しかし実際はロールオーバーが進んで、波乱になることは過去ほとんど見られていません。
最近の裁定残の傾向をチェックしますと、6週連続で減少とあるように、5月中旬から6月のSQをはさんで減少傾向にあります。
上記のデータは株数ベースになりますが、3月の日経平均やTOPIXが今年の安値をつけた水準まで減少しています。さらに、裁定買い残は過去の株式市場の安値をつけた水準まで減少していることがわかります。
裁定買い残が減少した理由を考えてみますと、今年の買い残ピークと株式市場の高値はずれていますから、単純に株式市場の下落だけが要因ではないと思われます。
裁定買い残は5月に入ってから減少しているのですが、5月の材料としては長期金利の利回り上昇が上げられます。
裁定取引は日経先物を売り、日経平均採用銘柄をまとめて買ってサヤを取る取引ですから、多額の資金が必要になります。したがって、金融機関から資金を調達することが多いので、金利が上昇すると運用コストが上がり、うまみがなくなります。このために裁定残が減少していったと考えられます。
5月に金利が上昇したのはインフレ抑制のために世界的な金利上昇が背景と考えられますので、まだインフレ懸念は残っていますが、米国の景気減速が表面化していることからFRBの利上げムードは後退しています。
国内も景気減速の懸念によって日銀の利上げが難しい状況だと考えますと、低金利が続いて裁定買い残が積みあがりやすい環境になってくる可能性があります。
ただし、裁定取引だけで株式市場が上昇するということではなく、あくまでも景気やインフレなど現在の不透明要因が解消されることが株式市場の上昇のために必要なことです。
しかしながら、2006年の世界同時株安で株式市場が大幅下落となったとき、下落直前の裁定買い残が5兆円を突破しており、裁定解消売りが下落を加速させたと見られていますから、裁定買い残が低水準になっていることは、株式市場の売り圧力が大きく低下していることを示していると思われます。
日経平均が11連敗を記録し、節目の13000円が見える局面になっていますが、裁定買い残の水準では底値圏を示し始めていると見られます。外部環境は楽観ができない状況ではありますが、需給面やテクニカルでは一旦の反発も考えられる局面になってきていると思われます。
レポート担当 : ケンミレ株式情報 市原義明
本日の株式市場は、米国株の下げ止まりにも反応せず、ほぼ全面安となって続落することになりました。日経平均は本日の下落で、ついに10連敗を記録することになりました。
日経平均の10連敗はバブル崩壊後の相場低迷期でも記録がなく、1965年2月19日から3月2日にかけて記録したときまでさかのぼらないとない出来事となります。
当時の経済環境を調べてみると、サンウエーブや山陽特殊製鋼など大手企業が倒産した「40年不況」といわれた時期で、それだけではなく、長引く証券不況で証券会社が経営不安に陥り、この年の5月に日銀が山一證券などに特別融資(日銀特融)をおこなったときです。
したがって、日銀特融をおこなうほどの証券不況の真っ只中に起こった10連敗ですので、今回の日経平均10連敗がどれだけ大きなことかがわかるといえます。
今週は3日に米国の雇用統計が発表されるのと、ECB(欧州中央銀行)理事会を控えていることが積極的に買うことができない状況につながって、日経平均の反発が弱い背景と見られます。
ECB理事会ではインフレ抑制のために約1年ぶりに政策金利を引き上げる見通しとなっており、市場では利上げを織り込んでいると見ているものの、蓋を開けてみないと市場がどのように動きかわからないため、積極的に動けないのだと思われます。
欧州が利上げを実施し、さらに米国雇用統計の悪化となれば、欧州と米国の金利差プラス米国景気後退でドル安のシナリオが考えられ、一段のドル安となればドルと連動性の高い原油先物価格がさらに上昇する可能性が高まります。
原油高騰が世界的なインフレ懸念につながりますから、インフレによる新興国の景気を停滞させることも連想されます。
世界的なインフレ懸念や景気後退だけではなく、輸出に頼っている日本にとって一段の円高進行となりますと直接的な悪材料になりますから、株価が下がって安いといっても、不透明要因のリスクをとってまで投資できないということになります。
このような環境が今週に重なったことで、日経平均が10連敗するという不名誉な記録につながったと考えられます。
しかし、下がり続けることはないわけですから、どこかで連敗は止まります。ただし、単純に連敗が止まるだけのことですので、再び日経平均が安値を試す動きになる可能性はあると思われます。
そうなると、自律反発以上にしっかりと上昇するようなきっかけの材料が欲しいとなるわけですが、7月のイベントを考えますと1つのきっかけが浮かびあがります。
それは、今月が3月決算企業の第1四半期(4-6月期)決算発表を控えているという点です。
もちろん、企業決算が悪いということになれば相場回復のきっかけとなるわけではないのですが、今年の相場を振り返りますと、今期の決算発表で悲観的な業績見通しが後退していますし、ソニーやNTTが決算をきっかけにストップ高する象徴的な動きもありましたから、第1四半期の決算がきっかけになる可能性が考えられると思われます。

7月の決算発表は例年7月下旬から8月中旬にかけておこなわれます。したがって、まだ発表まで期間もありますから、当面は海外市場や為替、原油などで神経質な展開となり、株式市場の下値模索は続く可能性は高いと思われます。
安値を待ち伏せて買うにしても、なるべく買ってから下がらないタイミングを待ちたいですから、下がっている最中は様子を見て、じっくりと下値を確認することを優先した方がよいと考えられます。
レポート担当 : ケンミレ株式情報 市原義明
昨日(30日)の昼過ぎに、米国格付け会社大手ムーディーズが日本国債の格付けをこれまでの「A1」から「Aa3」に1段階引き上げを発表したと伝わりました。
ムーディーズが日本国債を格上げしたのは2007年10月11日以来のことになりますが、今までの格付け「A1」は最上級から5番目となっており、「Aa3」になったことで最上級から4番目になったことになります。
格付け機関はスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)など複数の格付け機関があるのですが、最も市場に影響があるといわれているのが米国のムーディーズです。
ムーディーズの格付け基準は以下のようになっておりますが、AaからCaaまでの格付けにさらに1、2、3(Aa1など、1の方がよい)という数字がつきます。
【ムーディーズの格付け基準】
Aaa:信用力が最も高く、信用リスクが限定的であると判断される債務に対する格付け。
Aa:信用力が高く、信用リスクが極めて低いと判断される債務に対する格付け。
A:中級の上位で、信用リスクが低いと判断される債務に対する格付け。
Baa:信用リスクが中程度と判断される債務に対する格付け。中位にあり、一定の投機
的な要素を含む。
Ba:投機的要素をもち、相当の信用リスクがあると判断される債務に対する格付け。
B:投機的であり、信用リスクが高いと判断される債務に対する格付け
Caa:安全性が低く、信用リスクが極めて高いと判断される債務に対する格付け。
Ca:非常に投機的であり、デフォルトに陥っているか、あるいはそれに近い状態にある
が、一定の元利の回収が見込めると判断される債務に対する格付け。
C:最も格付けが低く、通常、デフォルトに陥っており、元利の回収見込みも極めて薄い
債務に対する格付け。
ムーディーズの格付け基準を参考にすれば、今回の格上げで日本は「信用力が高く、信用リスクが極めて低いと判断される債務に対する格付け」の上から3番目になったということになります。
ただし、海外主要国の格付けと比較しますと、日本の格付けはまだ先進国の一番下で、決して高い格付けというわけではありません。
【主要各国のムーディーズ格付け】
Aaa 米国 英国 カナダ スイス ドイツ フランス
Aa2 香港 イタリア
Aa3 台湾
A1 サウジアラビア 中国 『日本』
A2 イスラエル 韓国 南アフリカ
ムーディーズのコメントによると、日本の財政引き締めや財政再建の取り組みの期待によることや、不安定な世界経済に対して日本経済が強さを維持していくだろうという背景からの格上げとなったようです。
この国債格付け引き上げの発表があった昨日の市場の動きは、株式市場の反応は少なかったものの、為替市場では1ドル=106.30円近辺から106.10円程度まで円買いが進むきっかけの材料となりました。
皮肉なことに格上げによる円高が株価にとっては悪材料となって、日経平均は大引けにかけてマイナスの転じ、8日続落を記録することになりました。
昨年の格上げのときには株価が大きく上昇する材料にもなったのですが(2007年10月11日、日経平均では+281円)、7日続落していた株式市場の自律反発のきっかけにもならず、反対に世界的なインフレによる景気減速に神経質になっている市場心理を物語る結果だったと考えられます。
このように、同じような材料でもそのときの相場環境によって受け止め方や結果は違ってくるといえます。一般的に良い材料でも株価が反応しないとなりますと、悪い材料にはもっと敏感に反応する可能性も考えられます。
本日の相場は一進一退の末に結局は小幅続落となり、日経平均はついに9日連敗となりました。自律反発があってもおかしくない水準まで調整とも考えられますが、反対に良い材料にも反応が薄いため、反発力も弱い可能性もあると思います。
買うか売るだけではなく、チャンスが来るまでじっくり待つことも戦略の1つではないかと思います。
レポート担当 : ケンミレ株式情報 市原義明
先週末27日に上場企業の株主総会がピークを迎えました。注目された海外投資ファンドの株主提案は、終わってみればすべて否決される結果となりました。
筆頭株主の英投資ファンド、ザ・チルドレンズ・インベストメント・ファンド(TCI)との対立が注目された電源開発(Jパワー)では、TCIの株主提案が否決され、TCIは要求が通らなかったときには取締役再任に反対するとの姿勢を示していましたが、結局は取締役も再任となり、波乱はなかったといえます。
ただし、Jパワー株は総会でTCIの提案が否決されたことが伝わると、株価が急落していましたから、大幅増配などの株主にとって魅力のある提案の期待がはずれて失望された形となりました。
一方、5月におこなわれた東証一部上場のアデランスホールディングスの株主総会では、米系投資ファンドのスティール・パートナーズの反対により、取締役の再任案が否決されましたから、Jパワーについても投資ファンドの要求が通る可能性が期待されていたのだと思います。
外資系ファンドと聞くと、経営不振の会社に投資して再生させたあとに株式を売却する「ハゲタカ・ファンド」のイメージがあるかもしれません。
命名が屍骸に群がるハゲタカからきていることもあって、外資系ファンドが日本企業に投資すると聞いただけで「外国人が日本を食い荒らす」というイメージでニュースを受け止めることもあるのではないかと思います。
アデランスやJパワーに投資しているのはいずれも外資系投資ファンドですが、投資ファンドといっても様々な運用スタイルがあります。
運用スタイルでファンドを大きく3つに分けますと、広く投資家から資金を集めて有望な企業に投資する一般の投資信託(ファンド)系、少数の投資家から資金を集めて積極的かつ機動的な運用をするヘッジファンド、そして企業買収に特化したプライベートエクイティ系です。
もともとプライベートエクイティ業務とは未公開企業などに投資して企業公開させることによって利益を得るスタイルなのですが、上場企業の価値に注目して企業価値を高めて売却する目的で投資する場合も同じ意味となりますので、プライベートエクイティと呼ばれることが多いようです。
不振企業の再生を狙うハゲタカ・ファンドはプライベートエクイティのひとつといえますが、従業員を強制解雇したり、会社の資産を売却して現金化したりといった「金のためならなんでもやる」というモラルや社会性にかける部分があるために、よいイメージがないのだと思います。
しかし、海外のファンドといっても、今回のアデランスやJパワーにおこなっている投資は買収して解体するような目的ではなく、企業価値と株価の差に注目した純粋な投資という側面が強いと思います。
一方、外資ファンドの買占めに対抗するために、最近は買収防衛策を取り入れる企業が多くなっていますが、今年の株主総会では資生堂とイー・アクセスが買収防衛策を廃止することで話題となりました。
資生堂のコメントによると「新3カ年計画を着実に実行していくことが、グローバル市場における競争力と持続的成長性を高める」との判断が示されており、買収防衛策を廃止することで、外国人投資家に閉鎖的なイメージを払拭する狙いもあったようです。
買収されるのが嫌であれば上場をしなければよいと思いますし、本来の投資でいえば、企業価値よりも株価が安いことが外資系ファンドの買収対象となるわけですから、時価総額を高めて買収しにくくすることが一番の買収対策になると思います。
今年の株主総会は目立った波乱がありませんでしたが、閉鎖的な市場に資金は入ってこないわけですから、外資系ファンドの株主提案を真摯に受け止めることも必要だと思います。
外資系ファンドの一連の動きが、株式持ち合いのような非効率な古い慣習を打ち壊す流れに向かっていけば、結果的には日本の株式市場にとってよい方向なのではないかと思います。
レポート担当 : ケンミレ株式情報 市原義明