最新更新日:11 19, 2008 04:00 PM
今日の視点
レポート提供:ケンミレ株式情報

2008年11月18日

「株価を買うのではなく、割安になれば買う」の意味

先週あたりから株式市場は再び出来高で約20億株、売買代金で2兆円割れという薄商いの展開が続いています。これは多くの投資家が先に行われた「金融サミット(G20)の後」と今後の「米国のビッグスリーの救済策の行方」が見えないことで、近い将来の見通しが立てにくく売買を手控えていることの表れではないかと思います。

ただ株式市場は10月の金融システム安定化法案と11月の米国大統領選挙をめぐって期待と失望が交錯する中で、株価が上下に大きく変動する地合いが続いた結果、チャート上には久しぶりにバリューのラインが引けるようになってきました。


依然として予断を許さない相場であることには変わりありませんので、このバリューラインも株式市場を取り巻く環境に変化が生じればラインの変更や修正が必要になる場面が出てくるかもしれません。しかし、それでも先週来からの「ザラ場では大きく動いても大引けでは値を戻す相場」がちょうどフェアバリューライン上で止まっていることを考えますと、テクニカル指標が通用しなかった10月の暴落相場からテクニカル指標を見て判断する余裕が株式市場に参加する投資家の中にも生まれてきたのではないかと思います。

どういう意味かと言いますと、株価はちょうどフェアバリューライン上にありますが、このフェアバリューラインは「前々回の安値」とほぼ同じ株価水準となりますので、多くの投資家は「日経平均で前々回の安値の8200円前後、TOPIXで830p前後の株価水準を目先の安値」として意識して、今の相場を見ている可能性が高いということです。実際に今日も相場が下がってくると「年金資金の押し目買い」などの声が聞かれる場面もありました。

ただ、株式投資の原理原則は「割安になれば買い、割高になれば売る」ということですから、個人投資家にとって株価が上に行く(オーバーバリューを目指して上昇する)のか、それとも下に行く(アンダーバリューラインを目指して下落する)のかの判断が難しい今のフェアバリューライン前後の株価水準で買うということは、上がるも八卦下がるも八卦で買うようなものとなります。

■結論

(1)相場が下がった場合
上がるのか下がるかを当てるのではなく、株価水準がアンダーバリューを目指して下がる場面があれば「株式組入れ比率を引き上げる」という基本姿勢を換える必要はないと思います。

日本の株式市場を見る限り、日経平均もTOPIXも「大統領選挙とG20を終えて目先の材料出尽くし感」と「ビッグスリーの救済策の行方という材料待ち」のちょうど狭間の中でバリューライン上に踏み止まっている格好となっていますが、そのビッグスリーの本国である米国ではNYダウをはじめ主要な株価指標は「アンダーバリューラインぎりぎりのところで踏み止まっている」という格好となっています。


米国市場では先週の金曜日(11月14日)が大半のヘッジアンドの「年内最後の解約請求日」だったこともあり、ファンドの解約による売り物によって需給が崩れるという懸念はピークを過ぎたことになります。しかしそれでも株価がアンダーバリューに貼り付いているのは、それだけビッグスリーが経営破綻した場合の影響度が計り知れないことの表れということになります。

特にビッグスリーは、自動車製造に関わる関連業種を含めると全米で約400万人の雇用を創出していますので、その労働者が支持基盤の民主党はビッグスリーに対して総額250億ドルの融資を可能にする救済策を上院に提出しました。その結果が19日に出るということですが、場合によっては米国の株式市場はアンダーバリューラインを割ってさらに大きな下落が起こり、日本の株式市場もアンダーバリューラインを目指して下落するということも十分に考えることができます。

そうなれば待ったなしで政治が動き、政治が動くことでリバウンドが起こり、下落が大きくなればなるほどこのリバウンドの上昇率も大きくなります。したがって、このような株式市場の急落が起こったときに株式組入比率を引き上げるというシナリオが、一番リスクを抑えて利益を得る方法となります。

(2)相場が下がらなかった場合
しかしビッグスリーに対する救済支援が民主党の要求通りに議会を通った場合、日米共に株式市場は上昇する可能性もあります。そうしますと、「下がったら買おう」と待っていても、結局安い水準で買う場面がなかったということになってしまいます。

このような展開になった場合、一番してはいけないことは「相場が下がらずに上昇したところで追随して買ってしまう」ということです。相場が上昇したことで「今のうちに買わないと自分だけ相場の流れに取り残されてしまう」という焦りで上昇中に買ってしまう人がいますが、このような投資手法は「その銘柄の過去の上昇率をチェックして、すでに上昇した分を差し引いても十分に上昇余力がまだ残っている銘柄」でなければ、かなりの確率で高値つかみとなってしまいます。

しかし、どのような相場であっても「株価が一本調子に上昇し続ける」ということは100%ありませんので、必ず上昇した後に調整で下がる場面がやってきます。

ただ単純に「株価」だけを見ますと、上がる前の「今の時点で買えば安く買うことができる」となりますが、今の時点で株価がこれから上昇するかどうかを判断することはできません。前述のようにさらに下がってしまう可能性も十分にありますので、今の時点で買うというのは「将来上がるだろう」という当て物で買うということになり、株価は安くてもリスクは高い買い方ということになります。

しかし一方で、相場が上昇した後に株価下がったタイミングでは「自然な利食いによる調整で株価が下がった下落」となりますので、利食いが一巡すれば再び下がった後のリバウンドが期待できるタイミングとなります。つまり株価は今よりも高くなりますが、上昇した後の押し目で買う方が割安度は高いということになります。もちろん、この上昇した後の調整時の「株式市場を取り巻く環境」によっては「買ってはいけない」ということもあります。

したがって、相場がアンダーバリューに向かって大きく下がる場面があるようなら「株式組入比率を引き上げる」、反対にオーバーバリューに向かうようなら「無理に買う必要はない」、仮にオーバーを超えるような上昇があれば「超えた後の押し目で株式組入れ比率を上げれば良い」というのが、今の相場に対応したシナリオになります。つまり「株価を見て買う」のではなく、あくまでも「割安なときがあれば株式組入比率を考えて買う」というのが割安株投資とマネジメント投資を統合した投資手法の第一歩となります。

お知らせ

11月20日に森田が『起業家タマゴの経営イロハ』という本を出します。ケンミレの投資理論は『経営理論に基づいて作りました』ので、この本を読んで頂きますと、ケンミレの投資理論が『なるほど』と思えると思います。

この本は経営本のように『できない理論』ではなく『何をするか』という具体的に手法を書いています。仕事をする時に『どういうふうに仕事をすれば良いか』とか『社長は何を考えて経営しているか』などが分かりますと、サラリーマンは『どうすれば良いか』も分かると思います。

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レポート担当 : ケンミレ株式情報 田中達也

Posted by Yen-Dokki at 2008年11月18日 18:33
 
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