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ケンミレ株式情報レポート |
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軟調な展開が続いている株式市場ですが、相場展開にあわせて裁定買い残の整理も進んでいます。東京証券取引所が発表した先週末までの裁定買い残高は金額ベースで6週連続の減少となり、約3ヶ月半ぶりの低水準となりました。
裁定取引は日経先物と日経平均との差を狙った取引で、割高になった先物を売り、割安な現物を買って成立する取引です。この裁定取引を組んだときに買った現物株が裁定買い残となります。東京証券取引所が発表しているのは、先週末までに残っている裁定買いの現物株の量ということになります。
裁定取引は、相場上昇時ですと先物が先行して上昇しやすくなりますから、裁定取引による現物買いが入りやすくなります。一方で、相場下落時には先物が先行して下落するので、先物と現物の差が縮まり、裁定取引を清算する売りが現物に出ます。
このような裁定取引に絡んだ売買のことを「裁定買いが相場を押し上げた」「裁定解消売りで下げが加速した」などと解説される部分です。
裁定買い残は先物の清算日(SQ)とあわせて解消されることも多いのですが、株式市場全体の先高感が強ければ、SQ時に先物だけ次の期間へ乗り換える(ロールオーバー:例えば日経先物6月限を売って9月限を買って乗り換える)が進んで、裁定買い残はそのまま積み残されることもあります。
「SQで株式市場が荒れるのでは?」という観測が出るのは、裁定買い残が大量に積みあがっていて、一気に解消売りが出されて相場が急落するということを警戒していることです。しかし実際はロールオーバーが進んで、波乱になることは過去ほとんど見られていません。
最近の裁定残の傾向をチェックしますと、6週連続で減少とあるように、5月中旬から6月のSQをはさんで減少傾向にあります。
上記のデータは株数ベースになりますが、3月の日経平均やTOPIXが今年の安値をつけた水準まで減少しています。さらに、裁定買い残は過去の株式市場の安値をつけた水準まで減少していることがわかります。
裁定買い残が減少した理由を考えてみますと、今年の買い残ピークと株式市場の高値はずれていますから、単純に株式市場の下落だけが要因ではないと思われます。
裁定買い残は5月に入ってから減少しているのですが、5月の材料としては長期金利の利回り上昇が上げられます。
裁定取引は日経先物を売り、日経平均採用銘柄をまとめて買ってサヤを取る取引ですから、多額の資金が必要になります。したがって、金融機関から資金を調達することが多いので、金利が上昇すると運用コストが上がり、うまみがなくなります。このために裁定残が減少していったと考えられます。
5月に金利が上昇したのはインフレ抑制のために世界的な金利上昇が背景と考えられますので、まだインフレ懸念は残っていますが、米国の景気減速が表面化していることからFRBの利上げムードは後退しています。
国内も景気減速の懸念によって日銀の利上げが難しい状況だと考えますと、低金利が続いて裁定買い残が積みあがりやすい環境になってくる可能性があります。
ただし、裁定取引だけで株式市場が上昇するということではなく、あくまでも景気やインフレなど現在の不透明要因が解消されることが株式市場の上昇のために必要なことです。
しかしながら、2006年の世界同時株安で株式市場が大幅下落となったとき、下落直前の裁定買い残が5兆円を突破しており、裁定解消売りが下落を加速させたと見られていますから、裁定買い残が低水準になっていることは、株式市場の売り圧力が大きく低下していることを示していると思われます。
日経平均が11連敗を記録し、節目の13000円が見える局面になっていますが、裁定買い残の水準では底値圏を示し始めていると見られます。外部環境は楽観ができない状況ではありますが、需給面やテクニカルでは一旦の反発も考えられる局面になってきていると思われます。
レポート担当 : ケンミレ株式情報 市原義明