経済指標を読む・今週の株式相場・新興企業・業績見通しほか
■「安倍政権」の政策運営/
憲法改正優先で、税制・金融改革が遅延するリスク
安倍官房長官が次期首相に選出される可能性が日増しに高まっている。
同氏が次期首相になると仮定した場合、次期政権の政策運営の焦点は何か。
クレディ・スイス証券チ-フエコノミスト(マネージング・ディレクター兼経済調査部長)の白川浩道さん(Hiromichi Shirakawa/ Chief Economist, Credit Suisse Securities Ltd.)は8日(金)、そのポイントは、憲法改正を優先する次期政権では、「税制改革や金融改革が遅延するリスクがある」として、次のような分析と予想を行った――。
1.憲法改正論 アジア諸国の反発は「靖国」以上に高まる
現政権の最大の政策目標は郵政民営化であったが、次期政権のそれは憲法改正となるだろう。
憲法改正における焦点は、極東地域での有事を受けた集団的自衛権の行使の容認である。なお、憲法改正と平行して、国家安全保障会議の創設や防衛庁の国防省への格上げなどが検討される可能性がある。
次期政権は、2008年度中の憲法改正を目指すのではないかとみられる。2009年初の米国新政権の誕生によって、極東地域の地政学に変化が生じるリスクを意識するものと考えられるからである。
次期政権における憲法改正論は、日本の防衛力強化に対するアジア近隣諸国の懸念を強めることになるだろう。現政権における首相の靖国神社参拝問題に比べてアジア諸国の反発は強まる可能性が高い。
一部には、次期政権が、現政権下で外交関係が悪化した中国や韓国との関係改善を図るのではないか、との見方もある。我々は、こうした見方に特に異論を唱えるつもりはないが、そうした関係改善姿勢は表面的なものに止まる可能性があることに注意しなくてはならない。
▼経済指標を読む/
4-6月期GDP2次速報値=ほとんどサプライズなし
クレディ・スイス証券チ-フエコノミスト(マネージング・ディレクター兼経済調査部長)の白川浩道さん(Hiromichi Shirakawa/ Chief Economist, Credit Suisse Securities Ltd.)は今朝ほど、内閣府が発表した4-6 月期のGDP2 次速報値について次のようにコメントした――。
内閣府が発表した4-6 月期のGDP2 次速報値では、実質GDP 成長率は季節調整済み前期比0.2%増、年率換算1.0%と1 次速報値(前期比0.2%増、年率換算0.8%増)からわずかながら上方修正された。当社(前期比年率1.3%増)および市場のコンセンサス(同1.2%増)を若干下回ったものの、ほとんどサプライズはなかった。
修正要因も、ほとんど予想の範囲内であった。
民間消費支出および民間住宅は、それぞれ前期比0.5%増、同2.7%減と1 次速報値と変わりはなかった。民間設備投資は同3.7%増と1 次速報値から0.1%ポイントの下方修正となったものの、全体の伸び率に対する寄与度には影響なかった。また、民間在庫増減の寄与度は-0.0%ポイントと、予想通り1 次速報値から0.2%ポイントの上方修正であった。若干予想外だったのは公的固定資本形成であり、1 次速報値の前期比4.9%減から同6.3%減と下方修正され、全体の伸び率に対する寄与度も-0.2%ポイントから-0.3%ポイントとなった。その他では、輸入の伸び率が前期比2.0%と0.2%ポイント上方修正されたが、外需の寄与度には影響しなかった。GDP デフレーターも、前年比0.8%減と1 次速報値と変わらなかった。
【Washington Political Report】(有料)特約 (September 2-8, 2006)
米国の政治・政策に関するコンサルタント、ロビイストとして、ワシントンで活躍するポール室山&アソシエイツ社長のポール室山さん(Paul M. Muroyama / Paul Muroyama & Associates, Inc.)。同社が発行するレポート『Washington Political Report』(有料)は、米国の政治情勢、さらには中東など世界情勢をウォッチする上で欠かせないレポートとして定評がある。同レポートから次の1本の記事をご紹介する――。
イラク再建問題からテロリズム戦争への揺り戻し
9/11テロ5周年を機会にブッシュ大統領がこの1週間展開した一連の演説は、アメリカ国民の関心を、難航するイラクの再建からテロリズム戦争の成果へと再び揺り戻そうとする試みと見なすことができます。最初は8月31日(木)アメリカ在郷軍人会の総会でのイラク政策防衛のための演説、今週に入ってからは火曜(5日)アメリカ軍将官協会のメンバーを前にしたイスラム過激派の意図を説く演説、水曜(6日)ホワイトハウスでの9/11テロ主犯のアルカイーダ・メンバーの扱いに関する演説、木曜(7日)にはジョージア公共政策基金のメンバーを前にしたテロリズム戦争のこれまでの成果に関する演説と、これまでにはなかった集中的な演説で、2ヶ月後に迫った中間選挙を視野において政治の主導権を握ろうとする試みでもありました。
テロリズム戦争はブッシュ大統領が現在でも米国大衆の半分以上の支持を得ている数少ない政策のひとつでブッシュ大統領の強みと言うことができます。実際に、9/11テロを経験してから今日までのブッシュ政権の徹底的なテロリズム戦争、テロリズム対策によって、アメリカは5年間大規模なテロ攻撃を受けないで来ました。これは単なる幸運だけによるものではなく、ブッシュ大統領の主張するように、対外的軍事行動によってテロリズム集団に圧力をかけ続けると同時に、国内のテロリズム防止策を次々と実行していったその努力の賜物と考えてよいでしょう。空港の監視強化や多数のテロリスト容疑者の摘発によってアルカイーダなどのテロリスト集団は最早米国内では簡単には大規模テロを敢行することは難しくなっています。海外ではアルカイーダの幹部の75%は既に殺害ないし捕縛されて、アルカイーダはかつてのような力のある集団では無くなりました。テロリズム戦争ではブッシュ大統領は確実に自負できる仕事をやってきたので、そこに焦点をおいた一連の演説は間違いなくブッシュ大統領の評価につながります。
テロリズム戦争の一環としてブッシュの主張するようにイラク軍事侵攻が必要であったかどうかという基本的な問いかけは残り、またイラク占領後の民主化再建の失敗を否定することはもはや難しくなりました。しかし、イスラム過激派集団に対する世界的なテロリズム戦争という本来の戦争に焦点を戻せば、イラクの失敗は相対的に小さなものに見えます。実際に今週の3日連続のブッシュ大統領が渾身の力をこめた演説によって、アメリカの新聞・テレビのトップを飾るニュースはテロリズム戦争に関するものに移り、イラクの問題は、一時的にしても背後に隠れることとなりました。ブッシュ/ホワイトハウスのPR戦略は取り敢えずは成功しました。
ブッシュ大統領は今回の一連の演説では、これまでになくウサマ・ビン・ラーデインやその直属部下のザワヒリなどの米国を呪った言葉を多数そのまま引用して、イスラム過激派集団の悪意を繰り返し執拗に説き、また9/11テロに至るまでのウサマ・ビン・ラーデインのアメリカを狙った一連のテロリズムの敢行を98年のケニアとタンザニアの米国大使館大爆破テロ、2000年10月のイエーメン沖の米海軍巡洋艦コールの爆破テロなどにまで遡って説明し、ビン・ラーデインの脅しが単なる言葉だけの脅しではなかったことを改めて呼び起こしました。また9/11テロを敢行した19人のハイジャッカー達が米国内でテロの準備を続けているのをFBIが嗅ぎ付けていたにも係らず、CIAとの連携がないために海外のアルカイーダの活動に結び付けて考えることができずテロを事前に察知できなかったことなど監視体制の欠如も改めて回顧しました。(以下略)
<室山氏のプロフィール>
ポール・室山。1982年よりアメリカ合衆国首都ワシントンDC近郊に在住。アメリカの国際弁護士事務所、ロビイング会社、PR会社勤務を経て1988年独立。アメリカの政治・政策に関するコンサルタント、ロビイストとして活躍。著書に「ワシントン政治を見る眼」(2001年4月、中央公論新社から出版)がある。学習院大学大学院卒。米国永住者。
▼今週の株式相場/
レンジ内の動きだが、前週比で幾分下方にシフト?
新光証券エクイティ情報部エクイティストラテジストの瀬川剛さん(Tsuyoshi Segawa / Equity Strategist, Shinko Securities Co., Ltd.)は、今週の株式相場について次のようにコメントした――。
今週の東京市場は前週同様に日々の振幅は大きいものの、週を通してみてばレンジ内の動きに留まると予想する。レンジは前週比で幾分下方にシフトしよう。①米国市場では再びインフレへの警戒が台頭しており、②要人発言や経済指標を受けて株価は神経質な動きとなろう。主要ハイテク企業の③ガイダンスも予定され、今週の東京市場も米国睨みの展開が続くのではないか。週末のG7 では人民元と共に円安も俎上にのぼるとみられるだけに、④為替相場にも注意したいところ。また、諸々の⑤期末特有の要因にも注意したい。今週の予想レンジは日経平均で15700~16200 円。
(注)上記コメントは基本的に原文どおりですが、冒頭の文章、タイトル、小見出しなど、一部編集してあります。
▼新興企業・業績見通し/
各セクター内での優勝劣敗がより一層明確化
大和総研(Daiwa Institute of Research Ltd. DIR)はこのほど、2006 年度および2007 年度のフロンティア企業業績見通しの改定を行った。
その結果、全産業ベースでは、06年度は11.7%増収、5.2%経常増益、07年度は10.5%増収、20.8%経常増益の見通しとなった。05 年度まで4期続いた2桁増収2桁増益は途切れるものの、02 年度に増益に転じて以降、07年度まで6期連続増益の見通しである。
<06年度はIT サービス、小売の減速により、一時的に製造業が浮上>
業態別の経常増益率は、06 年度が製造業+5.8%、非製造業+4.9%、07 年度が製造業+14.9%、非製造業+24.3%となった。03 年度以降のフロンティア企業業績見通しではIT サービスを筆頭に非製造業がけん引役となっていたが、06年度はIT サービス、小売の減速により一時的に製造業の経常増益率が非製造業のそれを上回ることとなる。
前回予想との比較では、06年度、07年度ともに下方修正となった。
06年度は売上高で0.2%ポイント、経常利益で3.3%ポイントの下方修正。売上高は微調整の範囲内だが、原油など一次産品価格の上昇・価格転嫁の後ずれ、小売の一部企業での価格政策の変更などが下方修正要因となっている。個別企業の戦略により各セクター内での優勝劣敗がより一層明確になりつつあると言えよう。
▼今日の株価予想/
機械受注統計を待ちながら、もみ合いレンジ形成へ
T&Cホールディングス(代表取締役兼CEO・田中茂樹氏)グループの投資情報会社トレーダーズ・アンド・カンパニー(代表取締役・野田和宏氏)は今朝、今日の株式相場の見通しについて、次のように予想した――。
本日の東京市場は、まずは16000円水準を固めることができるのかが注目される。
その際に、寄り付き前に発表される第2四半期実質GDPの2次速報値がヒントになりそうだ。予想通り上方修正となれば、市場には安心感から押し目買いが入り、底固い値動きになりそうだ。もっとも、本日は午後2時に発表される7月の機械受注統計も気になるところ。そのため、これを待ちながらもみあいレンジを形成する可能性が強いだろう。
テクニカル分析
先週末の日経平均株価は3日ぶりに反発した。それでも、朝方は節目の16000円を割り込むと下げ幅を拡大し、8月28日の安値15745円を意識させる場面もあった。しかし、この日決まった9月限先物・オプションのSQ値15847円が事実上の下値支持線となり、15831円で下げ止まると、後場からは急反発に転じた。その結果、前日の高値16141円を上回ったことで、9月4日高値16414円からの下落トレンドは、目先では先週末の安値が底値になったと見られる。
本日は先週末の高値16156円を上回ると、上昇トレンドが明確になる。その場合、最初の上値の節目は6日の安値16245円。ここからは、チャート上のマドがある。実は、1日高値16158円~4日安値16280円のマドもあるために、4日~6日の日足が高値圏に取り残されるアイランド、すなわち天井打ちの形状になっている。それだけに、このマドを埋めてアイランドを解消できるのかどうかが、より長いタームでのトレンドを見る上では注目される。一方、下値は16000円の大台が直近の下値支持線。さらに、現在15939円にある25日移動平均線は、7月27日以降は終値ベースでこれを下回った日がほとんどなく、それゆえに注目される下値支持線である。
話題の銘柄
楽天(4755)/懸念された諸問題への取り組みを評価、目標株価85000円
メリルリンチ ジャパンコンファレンスの「ネットが変えるハードとメディア」のワークショップにて、楽天の代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏が講演。その中で三木谷氏は、楽天が目指すものはインターネット・サービスと会員ビジネスの融合であるとし、この融合により顧客のライフタイムバリューの最大化が成長戦略の中心であると述べ、目の前のトラフィックの収益化を主眼とする他のインターネット企業との差異を強調した。具体的には1顧客当たりのライフタイムバリューの現在価値として200万円を目標としたいとし、それに向けてEC事業のみならずトラベル・金融を含めた複数サービスをシングルIDで囲い込むことが可能な唯一のネット企業であると指摘。特に金融事業は顧客当たり現在価値を高める有効な手段であるとし、今後半年以内で金融サービスもすべてシングルサインオンで利用可能な仕組みを構築する計画を明らかにした。
現在、課題として注力している点としては、(1)楽天KCの再建、(2)ポータル事業の競争力向上、(3)各事業を横断的に管理する仕組みの強化、(4)外注費などのコスト削減、などを挙げた。また、本社の東品川への移転により、年間」約20億円の費用削減が期待㥸
Posted by Yen-Dokki at 2006年09月13日 13:27