Too Big to Failと連銀①/日本株売りの盲点(11/18)

過去の投資環境は? 相場はどう変化しているのか?今を知り、未来を読むためには過去の情報も随時追いかけることが重要です。今回は11月18日(水)の金融・経済情報をお送りします。

■Too Big to Failと連銀①/
 放置すればバブル再来⇒その崩壊⇒危機再来

米国において行われてきている議論は、too big to fail 問題と連銀の役割をどうするかが焦点となってきている。大和総研・特別理事の田谷禎三さんは、「このtoo big to fail(大きすぎて潰せない) の問題は各国共通だし、今回の金融危機を経てより大きな問題となってきている」と語る。実際、日米欧において、戦略的合併や救済合併を経て各国の大手金融機関はさらに大きくなった――。

<なぜ、too big to fail は問題か?>

Too big to fail な金融機関とtoo small to save な金融機関の資金調達コストは前者に有利となる可能性がある。Big であれば政府の救済対象となることが期待できる。したがって、そうでない金融機関に比べると低い金利で安定的に資金調達ができることになる。実際にも、大手金融機関の資金調達コストは低いとの経験的事実があり、少なくともその一部は暗黙の政府支援の可能性に関係していると考えられる。しかも、今回の金融危機を契機に、政府支援は暗黙なものではなく現実のものと確認された。Big なところはますますbig になる。

Big な金融機関の経営者は、大きく儲ければ利益は自分のものとなり、大きく損をしても政府が面倒を見てくれるのであれば、リスクの大きな金融活動を志向するモラル・ハザードを引き起こす可能性がある。つまり、too big to fail を放置すると、将来、過剰なリスク・テイクによるバブルを引き起こし、その崩壊とともに危機を再来させることになる。

■日本株売りの盲点/
 新政権の「構造改革」を過小評価する海外投資家

最近日本NDC(新斜陽国)転落論、日本国家破綻などが喧伝され、日本売りムードが広がっている。米国株が年初来高値を更新する一方で、日本株の下げが目立つ。しかし、東海東京証券チーフエコノミストの斎藤満さん(Mitsuru Saito/Chief Economist, Tokai Tokyo Securities Co.,Ltd.)は、「これには行き過ぎと思われる点がある」として、次のように反駁する――。

<好材料も「懸念材料」に見えてしまう認識のかい離度>

日本の7-9 月期のGDPは、前期比1.2%成長となったが、これは米国の0.9%、独の0.7%、伊の0.6%成長を上回り、欧米主要国を上回る高い成長だ。しかも、4-6 月期も0.7%成長で、2 期連続の成長を達成したのは、主要国ではポルトガル(0.3%,0.9%),独(0.3%,0.7%)、仏(0.3%,0.3%)くらいで、日本はこれらを更に上回る。米経済紙は、皮肉にもこの数字が政府支援や在庫増による「一時的」なもので、むしろ「2 番底」を懸念するもの、と評している。

確かに10-12 月以降は新政権の経済運営もたつきから再び減速が懸念されているが、実際には輸出型製造業を中心とした拡大が持続している。民主党政権は、ダム建設を初めとする公共事業の中断や、これまでのやり方を否定する面があり、モノやカネの流れが滞る面は否定しがたいが、これをカバーする材料が少なくとも3 つある。

▼今日の株価予想/
 新興市場株に下げ止まりの動きが見られるか 

T&Cフィナンシャルリサーチ(代表取締役・吉田恒氏/T&C FINANCIAL RESEARCH, INC.)は今朝、今日の株式相場の見通しについて、次のように予想した――。

東京市場は方向感に乏しい展開か。新興市場株に一旦下げ止まりの動きが見られるかどうかが注目される。全般上値の重い展開は変わりそうにないが、自動車や非鉄、商社、海運、通信などは比較的堅調か。日経平均は引き続き、25日移動平均線の下落基調が続くなか、11月11日の高値9871円を超えられるかどうかが注目される。

東京市場にとってはデフレ懸念や、公募増資による需給悪化懸念は強い。欧米株式市場が高値圏にある一方で、TOPIXは4カ月ぶりの安値圏で推移しており出遅れ感は明らか。ただ、好材料に反応薄で悪材料には過敏な反応を示すなか、欧米株式市場が逆に高値警戒感から調整局面に入ったときの東京市場への影響にも留意する必要があろう。

17日のダウ平均は30ドル高と3日続伸。連日の高値更新となった。予想より弱かった10月鉱工業生産を受けて売り先行も、ホーム・デポやターゲットなど小売関連の決算が市場予想を上回ったため、積極的に下値を攻め込む動きもみえず。終盤にはガイトナー米財務長官が米上院外交委員会で「景気回復には引き続き政府支援が必要」と発言したことで、景気支援策が継続するとの安心感が強まった。NASDAQやS&P500も続伸。業種別では素材や通信などが上昇した一方、一般消費財やエネルギーなどが下げた。ドル建てCME225先物は昨日の大証日中終値に比べ35円高の9775円、円建て清算値は20円高の9760円となった。

話題の銘柄

2607不二製油/好業績継続、ドイツが業績予想を上方修正、目標株価1400円→1700円

ドイツ証券では、「今期は、原材料コスト下落と販売数量増の恩恵を受けた製菓・製パン事業が好業績を引っ張っている。大豆たん白事業もリストラ効果と原材料コスト減などで収益改善が進んでいる。通期業績は現在の会社計画をさらに上振れる可能性が高いうえ、新興国でのチョコ消費増や食生活の変化を背景に中期的な収益成長性も高く、『Buy』を継続する」、「同社の上期営業利益は会社計画を30億円上回った。国内の業務用チョコレートなどの販売数量が好調だった製菓製パン素材事業で約16億円、コストダウンのほか水溶性大豆多糖類の販売が伸びた大豆たん白事業で9億円弱上振れたのが要因。同社は上期の上振れ分を乗せて通期利益計画を引き上げたが、当社でも上記2事業の好調なモメンタムを反映して通期営業利益予想を124億円から155億円へと上方修正した。当社EPS予想は10年3月期79円→106円、11年3月期86円→111円に変更する」と指摘。投資判断「Buy」を継続、目標株価を従来の1400円から1700円(今期予想ベースPER17倍、EV/EBITDA7倍の水準)に引き上げた。

トレーダーズ・ウエブ: http://www.traders.co.jp/

■デフレ圧力と円相場/ 
一段のデフレ圧力は、円高に作用する可能性が高い

クレディ・スイス証券、経済調査部ストラテジストの小笠原悟さん(Satoru Ogasawara/Strategist, Credit Suisse Securities Ltd.)は、今回の7-9 月期の実質GDP の結果は、市場の事前予想を上回ったことや、G4 の中で最も成長率が高かったことから、直感的には円高要因と捉えられるとしながらも、こう続けた。「グローバル景気回復を背景に貿易収支の改善傾向が続くと予想される中、さらなるデフレ圧力の高まりは、ネガティブな円高要因として作用するリスクがある。」

小笠原さんは、米ISM 製造業新規受注指数は輸出増を示唆する一方、国内消費減速の見通しで輸入は伸び悩むとし、経常収支の大幅赤字化で円売りというシナリオは描きにくいと言う。そして、「もう一つの円高要因としては、デフレ圧力の高まりがある」と言う――。

▼FX相場予想/
 ドル円=3日ぶりに反発、一時89.55円まで上昇

マットキャピタルマネジメント代表取締役CEOの今井雅人さん(Masato Imai/ President CEO, Matt Capital Management)は今朝、FX相場の動向について次のようにコメントした――。

ユーロドルは3営業日ぶりに反落。一時1.4807ドルまで下げた。17日の欧州株が下落したほか、米国株も上値の重い展開が続いたため、投資家のリスク志向が高まらなかった。 16日の米国市場でユーロ買い・ドル売りが進んでいたこともあって、いったん利益を確定する目的で売りが出た。もっとも、米国の低金利政策が長期化するとの見方は根強く、押し目を買う動きが見られたほか、米国株が小幅ながら上昇して取引を終えたため下げ幅を縮小した。1.4800-1.5100ドルのダブルノータッチオプションに絡んだ防戦買いが下値を支えた面もあった。

ドル円は3日ぶりに反発。一時89.55円まで上げた。欧州通貨やオセアニア通貨に対してドルの買い戻しが入ったことを受けた。ただ、ドルの先安観を背景にした戻り売りも厚く上値は重かった。
17日に発表された米経済指標への反応は目立たなかった。

ユーロ円は4日続落。132.45円まで下げる場面があった。対ドルでユーロが売られたことや、欧米の株価の上値が重かったことを受けた。

▼今日の債券相場/
10年1.30%割れが引き続き抵抗され、もみ合いか?

シティグループ証券・投資戦略部、経済・金利戦略グループ、チーフストラテジスト(マネジングディレクター)の佐野一彦さん(Kazuhiko Sano/ Chief Strategist, Citigroup Securities Ltd.)は
今朝、債券相場(長期金利)予想について、概ね次のようにコメントした――。

本日の想定レンジとコメント 

昨日のNY ダウは前日比30.46 ドル高の10,437.42 ドルと小幅続伸し、年初来高値を更新した。

一方、米10年国債利回りは1bp低下の3.32%(6 時30 分現在、ブルームバーグ)。したがって、米国市場はあまり手掛かり材料にならない。

10 年の1.30%はとりあえず、レジスタンスとなったが、5 年債はあっさり、0.60%を割り込んだ。もちろん、両者の距離間には差があったのだが、政府のデフレ認定は日銀への追加緩和圧力になると市場が受け止めたのも間違いないだろう。その際、ゼロ金利政策や従来型の量的緩和政策ではなく、まずは、「時間軸効果」や国債買入れの増額が手段になると判断することは妥当である。前回10 月30 日の金融政策決定会合が公表した「当面の金融政策運営について」が、緩やかな「時間軸効果」を示しているという見方もあり、それが呼応した感もあろう。それゆえ、中期ゾーンが選好されることになる。

▼続・国債増発懸念①/
2次補正予算での国債増発懸念は小さくなる

シティグループ証券・投資戦略部、経済・金利戦略グループ、チーフストラテジスト(マネジングディレクター)の佐野一彦さん(Kazuhiko Sano/ Chief Strategist, Citigroup Securities Ltd.)は過日に続き「続・徐々に薄れる国債増発懸念」として概略、次のような見方を示した。今回はその第1回――。

<国債増発額は6 兆円程度となる>

6 日の本レポートでは、2 日の日経が報じたように、税収見積もりが30 兆円台後半に落ち込んでも、2 次補正予算での国債の市中発行増は6 兆円を大きく上回る可能性は低いと結論づけた。その「徐々に薄れる国債増発懸念」の続編を本日から解説する。

さて、税収見積もりの下方修正に関し、16 日のブルームバーグが複数の政府関係者の話として、「当初予算額(46.1 兆円)を8~9 兆円下回り、37~38 兆円程度にとどまることが明らかになった」と伝えた。この下方修正が8 兆数千億円に達するとして、その他の項目を吟味し、2 次補正予算や国債増発の規模などを描いてみよう。(中略)以上を単純計算すると、財源不足、すなわち、国債増発額は6 兆円程度となる。したがって、前回の結論と全く変わらない。

▼NY金相場/
「ドル相場」離れ=Gold自体が強いという印象

スタンダード・バンク東京支店(コモディティ・トレーディング)支店代表・副支店長の池水雄一さん(Yuichi Ikemizu/ Head of Commodity Trading, Japan, Standard Bank Plc)は、 NY金相場について、概ね次のようにコメントした――。

昨日のアジア時間は久しぶりの弱含み。前日ニューヨーク引けでの大口のオプション取引のため(昨日レポート参照のこと)、上昇して始まりましたが、1141ドルでは頭打ち、その後はじわじわ売られるパターンでした。特に目立ったのがSilverでの中国の売り。朝から一貫して中国の生産者からの売りがかさみ、それが頭を押さえました。昨日に限ってはSilverにgoldがfollowしたようなマーケットでした。

ニュース・チェック

★東証1+2部時価総額(17日)=287兆4717億円(前日比-1兆3545億円)

★ニュース・ヘッドライン

午前の東京株式市場=株価は、ここ連日のパターンどおり、米国株堅調を受けた朝高後に失速しマイナスに転じた。日経平均 が終値で前日比-13.58円安の9,716.35円、またTOPIXも同-7.76安の849.24、JASADAQ指数は同-0.13安の45.11となった。業種別株価指数の騰落率ランキングでは、東証33業種のうち上昇したのは9業種。医薬品、陸運業、繊維業などが上位を占めた。

午前の東京外為市場=為替相場は、ドル円が89円台前半でもみ合い。ドル円相場は89円台前半で推移、ユーロ円は132円台前半で推移している。

★堀内AIA社長のFXコメント=往来相場が最近多くていまいち迫力に欠ける相場

AIAの堀内昭利社長は昨夜、為替相場について概ね次のようにコメントした――。「往来相場が最近多くていまいち迫力に欠ける相場が続いている。忍の一字相場」。(11月17日。夜。)