円下落の限界点・拡大する企業BS②・6月短観プレビューほか

■円下落の限界点/
「円高反転+日本株上昇」へのターニングポイントは?


東海東京証券チーフエコノミストの斎藤満さん(Mitsuru Saito/Chief Economist, Tokai Tokyo Securities Co.,Ltd.)は20日、最近の円相場の下落について「もろくなった『壁』」とした上で、その相場反転の契機とインパクトについて次のようにコメントした――。

<ドル円は、すでに124円を窺うところまできた>

静かに円安が進んでいる。ユーロ円では「節目」と見られた160円の水準がいとも簡単に破られたあと、165円の水準も全く「壁」にならず、抜けてしまった。そして次は、ドル円の125円水準が試される。 これまでドル円に関しては、「105-125円」が暗黙のうちに安定レンジと見られてきた。このレンジが脅かされそうになれば、当局から何らかの介入が入るのでは、との認識もあった。だから市場はその一歩手前の水準で立ち止まることがしばしば見られた。

しかし、ドル円においてもこれまでのところは、先のユーロ円同様に、「節目」の水準が簡単に破られ、「壁」の役割を果たしていない。125円が円安の許容限界となれば、まず120円手前で一旦躊躇をみせるものだが、今回は抵抗なくクリアした。次には120円と125円の中間点、122円50銭が意識されたが、これも壁の役割を果たしていない。ドル円はすでに124円を窺うところまできた。

■拡大する企業BS②/
 企業は拡大路線シフトも、財務体質の健全性重視


クレディ・スイス証券チ-フエコノミスト(マネージング・ディレクター兼経済調査部長)の白川浩道さん(Hiromichi Shirakawa/ Chief Economist, Credit Suisse Securities Ltd.)は先ごろ、財務省の法人企業統計調査にもとづいて、企業のバランスシートが拡大しつつある、との分析と、今後の見通しを示した。昨日に引き続き、その概要をご紹介する――。

<主役交代? 非製造業と中小企業が活発化>

図表5-1から5-4は業種別に示したものである。資金需給動向から2006年度の企業活動を振り返ると、これまで景気回復局面で牽引役だった製造業および大企業がややペースダウンする一方、非製造業や中小企業が活発化してきていることがうかがわれる。

先行きに関しては、年後半に日本経済が再加速するとの見通しの下、全体として企業のバランスシートは拡大傾向を維持すると予想される。特に、米経済の回復が展望される中、ハイテクセクターの在庫調整が終了すれば、生産も持ち直し、製造業部門でもバランスシートの拡大は再び加速する可能性がある。名目成長率は、デフレが緩和するに伴い、2003 年度以降上昇率が高まっている。当社では2007年度の名目成長率は2%台へ回復すると予想しており、それに伴い、企業のバランスシートも拡大しよう。

資産サイドでは、足下やや鈍化している投融資資金も再び拡大し始めると予想される。
昨年6 月に施行された「新会社法」の下、企業の資金調達の仕組みが多様化し、また、今年5 月からは三角合併が解禁となった。規模の拡大を図る企業や、敵対買収を阻止するため株式の持合を高めようとする企業など、目的は様々であろうが、資金調達の多様化や規制緩和が、M&A など投融資活動を活発化させる可能性があろう。

▼6月短観プレビュー/
 業況判断DI=大企業製造業、非製造業とも1pt悪化?


クレディ・スイス証券チ-フエコノミスト(マネージング・ディレクター兼経済調査部長)の白川浩道さん(Hiromichi Shirakawa/ Chief Economist, Credit Suisse Securities Ltd.)は20日、来る7月2日に発表される予定の6月日銀短観について、次のようにプレビューした――。

(1) 企業の業況判断DI は、大企業製造業、非製造業はともに1 ポイント悪化の見通し
(2) 対米輸出の鈍化や原材料価格の上昇が製造業を圧迫する一方、ゴールデンウィーク後の
個人消費の軟化が非製造業を悪化させた可能性がある
(3) 先行きに関しては、米国経済の不透明感後退とハイテクセクターの在庫調整終了で、
製造業業況判断DI は再び改善へ

<高原状態を維持しながらも、3月調査より若干悪化>

6 月の日銀短観調査(7月2日発表)では、企業の景況感は、全体としてはバブル期以来の高原状態を維持しながらも、製造業、非製造業ともに3 月調査よりは若干悪化したと予想される。

製造業では、対米輸出の鈍化、IT 関連セクターの在庫調整、そして原油など素原材料価格の上昇が足下の景況感を圧迫しているものと見られる。ただ、同期の設備投資が引き続き好調だったことや、為替レートが3 月調査時点の想定レート(2007 年度上期:1ドル=114.37 円)から円安方向で推移していることからすると、大幅な悪化は想定されない。大企業製造業の業況判断DI は3 月調査の+23 から+22 へ1 ポイント低下したと予想する。

大企業非製造業の業況判断DI も、1 ポイント悪化の+21 を予想する。個人消費は、税制改正に伴う先行減税や好天の恩恵で、1-3 月期以降も個人消費は好調に推移していたものの、5 月中旬以降鈍化している可能性がある。同月の消費者態度指数、景気ウォッチャー調査の家計関連指標はともに、前月から大幅に悪化した。また、ロイター短観調査でも、非製造業のDI は6 月に急激に悪化している。一方、企業関連に関しては、製造業が循環的な調整地合いを反映し、対事業所サービスやリースではDI が悪化しただろう。

▼就職志望と株価/
  志望ランキング上位企業入り後、株価は上昇へ


大和総研・投資戦略部クオンツチーム(吉野貴晶チーフ クオンツアナリスト、斉藤哲朗クオンツアナリスト、佐藤智穂クオンツアシスタント/Daiwa Institute of Research Ltd. DIR)は、「大学生の就職志望企業と長期の株式パフォーマンス」とのテーマで検証したところ、次のような相関性が判明した――。

<特に、長期的なパフォーマンスが良好>

近年、雇用環境が改善している。景気の回復や、バブル経済崩壊後のリストラ・団塊の世代退職による労働力不足を背景に、求人総数は過去最高となり、学生側の売り手市場となっている。本稿では、大学生の就職志望希望の上位に入った企業について、ランキング前後の株価パフォーマンスを調べた。

その結果、就職志望ランキングの上位企業に入った後、株価は上昇することがわかった。特に長期的なパフォーマンスが良好である。また、就職志望上位の常連銘柄や、初めて就職志望上位に入った銘柄の、ランキング前後のパフォーマンスについても検討を行った。

▼今日の株価予想/
 日米ともに高値圏での戻り売り=押し目買いが下支え


T&Cホールディングス(代表取締役兼CEO・田中茂樹氏)グループの投資情報会社トレーダーズ・アンド・カンパニー(代表取締役・野田和宏氏)は今朝、今日の株式相場の見通しについて、次のように予想した――。

昨日の米国株式は大きく下落。NYダウも6月1日につけた史上最高値にあと18ドルにまで迫ったが、そこからは戻り売りに押された。昨年9月以来となる高値水準にある原油相場に加えて長期金利があらためて上昇したことで、株式市場では高値警戒感が強まった。また、シカゴ市場の日経先物は18100円を下回っている。

これを受けて、本日の東京市場は売り先行となりそうだ。ここ1週間は押し目らしい押し目なしに上昇してきただけに、牽引役の1つだった米国株式の下落はまとまった利益の確定売りを呼びそうだ。とはいえ、日米ともに高値圏での戻り売りであり、最近の強い上昇基調が変化したとみる材料とまではいえないことから、押し目では好業績の期待できる銘柄を個別に物色する動きは続きそうで、これが下値を支えるだろう。そのため、本日の東京市場は、利益の確定売りをこなしながら下値を探る動きになりそうだ。
テクニカル分析
昨日の日経平均株価は5日続伸。現状は、6月13日安値17591円を底値とする短期上昇トレンドや、年初来安値16532円(3月5日)を底値とする長期上昇トレンドが継続中。そして、18日の高値18194円を上回り、年初来高値18300円(2月26日)に迫る18297円まで上昇した。ここを突破すると騰勢が一段と強まり、次は6月6日高値18073円~17591円の下落に対する倍返しとなる18555円が目標値となる。

一方、18日、19日の安値がある18110円水準を割り込むと、戻り売り圧力が強まりそうだ。その場合、6月4日~7日に上値を押さえた18070円水準が注目されるサポート・ライン。ただし、これを下回り先週末の高値18007円からのマドを埋めることになれば、先週後半からの短期の上昇トレンドは昨日の高値で天井を打った形となり、一旦は値固めの局面に移りそうだ。

話題の銘柄
5108ブリヂストン/天然ゴム下落と欧米需要の拡大で恩恵=目標株価3000円

ゴールドマンでは、「当社では、7月から天然ゴム価格が下落すると予想している。4~6月の230セントに対し、7~9月は200セント、10~12月は170セントと見ている。足下の価格は220セントと、ピークの244セントから10%下落している。その理由は、世界天然ゴム生産の2割を占める最大の生産国タイで雨季が明け、世界生産が拡大し、世界需給が緩むためである。実際、06年も7月から生産が拡大、需給が緩み、価格が下落した」、「当社がカバレッジ・タイヤ4社の中でブリヂストンを選考する理由は、欧米需要拡大の恩恵が大きいと考えられるためである。株式市場では、米景気が減速しているため北米需要は期待できないとの見方もある。しかし当社では、北米販売は拡大すると予想している。理由は次の2点。(1)北米タイヤ販売に占める新車用タイヤの割合は2割に過ぎず、景気の影響を受けにくい、(2)残り8割を占める買換用タイヤの販売本数は自動車保有台数×買換率で表され、保有台数が年率2%拡大している北米では販売本数も拡大が予想される。実際、欧米需要は拡大している。この恩恵が大きいのは、売上に占める欧米の割合が大きいブリヂストンである」、「次のカタリストは会社計画上方修正。当社は8月の上期決算時に、会社が07年12月期経常利益計画を上方修正すると予想。現計画は天然ゴム価格、欧米需要、為替前提が保守的と見る」と指摘。今2007年12月期連結営業利益を会社計画1910億円(EPS115.4円)に対し2390億円(EPS158.9円)、来2008年12月期2550億円(EPS165.3円)、2009年12月期2750億円(EPS182.5円)と予想。レーティング「買い」、目標株価3000円を継続、強い買い推奨リストに新規採用した。

トレーダーズ・ウエブ: http://www.traders.co.jp/

▼円安とマーケット/
 さらに膨張!歯止めの効かない“円安バブル”


AIAの堀内昭利社長(Akitoshi Horiuchi/ President, AIA Business Consulting Ltd.)は今朝、為替相場について概ね次のようにコメントした――。

歯止めの効かない円安バブル、さらに膨張。
皆で担げば重くない神輿。団扇を煽るは日本銀行、ってとこかな。いろんな外貨投信があって、
頼まれて調べる事もあるのだが、あまり調べる事に意味はないような気がする。いろいろ投資先とか商品名とか特徴とか異なるのだが、全て眺めてみれば、なんということもないのだ。

つまり、円安になれば儲かり、円高になれば宜しくない、というそれだけということが多い。単純に外貨預金のほうが良いと思うけど。円安が進行している間は投信のトラブルはほとんど深刻なものは発生しない。円高になれば、金融庁と消費者センターに電話が殺到するだろう。と、書いたがバブルが萎む気配は全くない。よってさらに膨らむ。(6月21日。木曜日。いまだに雨の降らない梅雨。)

▼FX相場予想/
 消去法で「ユーロ買いドル売り」=長期トレンドにも沿う


元為替ディーラーで、『フォレックス・ディーラー物語』(http://www.d4.dion.ne.jp/~smatt/)の松田哲さん(Satoshi Matsuda)は20日、為替相場について、概ね次のようにコメントした――。

ドル円相場
ユーロ円がユーロ統合以来の最高値を更新すると、必ず、大口のユーロ円の売りを仕掛けるファンドも、今回は、今の時点では、ユーロ円を売り難そうだ。あくまでも、今の時点の話で、虎視眈々と、狙っているのは、変わらない。
ユーロドルが、上昇してきているので、この状態で、ユーロ円の売りを仕掛けることは、
ドル円を力ずくで、押し下げる必要がある。その結果を得られないと、利益に結び付かない。
しかし、今現在のドル円は、値ごろ感で122円台、123円台を売って、ショートで、つかまった向きが、下値で、パックリ口を開けて待ち構えている。だから、おいそれと、仕掛け難い。
タイミングをはかっている状態か?
先送りをして、様子を見るかな?

ユーロ円相場
ユーロ円(クロス円の代表として)は、目先の調整(下落=ディップ)を期待しています。
追いかけて、高値を買いたくない。さりとて、122円台、ないしは、それ以下のコストでの、
ドル円ショート保有者が、口を開けて待ち構えている。安易には、ドル円を売りたくない。
消去法で、「ユーロ買いドル売り」。長期トレンドにも従っている。
ポンド絡みなら、「ポンド買いドル売り」を行うことくらいしか、思い付かない。

▼英ポンドとBOE/
英国中銀MPCの議事録=ポンドの買い材料へ


マットキャピタルマネジメント代表取締役CEOの今井雅人さん(Masato Imai/ President CEO, Matt Capital Management)は20日、英中銀(BOE)の動向について次のようにコメントした――。

20日、6月に開催された英国中銀の金融政策委員会(MPC)の議事録が発表されました。
結果は5:4で据置きが決定されたということで、あと1人が賛成していれば利上げが実施されていたという事実が判明しました。これは、ポンドの買い材料です。次回の利上げの可能性がかなり高くなってきたと考えられるからです。

<本当に自由な中央銀行です>

さて、今回はキング総裁が利上げ支持に回っていました。つまり総裁が投票したほうと違う決定がなされたということですが、こういうことが起きるのはイギリス中銀ならではのことです。ちょうど2年前にも同じことがありました。本当に自由な中央銀行です。

▼7月参院選と市場/
  株式市場の反応が、市場の初期反応を決める


三菱UFJ 証券・金融市場戦略部チ-フ債券ストラテジストの石井純さん(Jun Ishii/ Chief Fixed Income Strategist, Mitsubishi UFJ Securities Co.,Ltd.)は、7月29日実施と予想される参院選結果と債券相場への影響について次のように考察した――。

<カギを握るのは、株式市場の外国人投資家>

石井さんはまず、今回の参院選が「年金選挙」であることから、2004年と同じ情勢と見ている。
とすると、自民党の獲得議席は50弱に止まり、独自の勝敗判定に照らせば「中立」という結果に相当することになる。しかし、「もとより、それは楽観的に過ぎるだろう」と言う。

選挙結果の市場動向への影響については、カギを握るのは、「政治問題に敏感に反応し、それを相場材料として取り扱うのに長けた外国人」として、こう続ける。「市場のなかでも、外国人が売買高シェア、持株比率ともに最大を占めている株式市場の反応が、市場の初期反応を決めることになるだろう。」

今回の参院選の市場全般への影響は、株式市場を軸として次のように整理した――。

ニュース・チェック
★ニュース・ヘッドライン
午前の東京株式市場=株価は朝方、米国株の下落を受けて安く始まったが、その後は切り返して上昇、日経平均 が終値で前日比+25.57円高の18237.25円、またTOPIXも同+3.11高の1786.83、JASADAQ指数は同+0.11高の82.83となった。業種別株価指数の騰落率ランキングでは、その他金融業、卸売業、情報・通信業などが上位を占めた。
午前の東京外為市場=為替は、ドル円相場は123.62-123.67円前後で推移、ユーロ円は165.57-165.61円前後で推移している。

★念のため、本誌読者の皆様は「円安バブル破裂+マネー逆流」に備えを!
本日掲載の分析やコメントに象徴されるように、本誌では折りあるごとに円安バブルと個人を中心とした対外資金流出への懸念をお伝えしてきました。正直、円安バブルがいつまで続くか、は神のみぞ知るところですが、多くのプロのコメントを熟読すると、解釈によっては「いつ来ても不思議ではない」とも言えそうです。老婆心なら幸い。危機感を煽るつもりは毛頭ありませんが、ここは少なくとも、いざという時に備えておくことをお勧めしたいと思います。ちなみに、グリーンスパン前FRB議長は12日、「中国経済の現在の成長は継続しない可能性があり、世界の金融市場における流動性の高まりは、転換点に近づいている」と発言したそうです・・・。

★注目企業=IR情報+ニュースリリース

ハートフォード生命保険株式会社
■ハートフォード生命保険株式会社は、6月21日より、スルガ銀行株式会社(本店:静岡県沼津市、社長兼CEO 岡野光喜氏)で変額個人年金保険「アダージオ3WIN」の販売を開始する。これにより、「アダージオ3WIN」の販売会社は合計26社になる。 http://www.hartfordlife.co.jp/index.html

松下電器産業株式会社(6752)
□『Panasonic NPOサポート ファンド』2007年度助成事業をスタート
http://ccml.panasonic.co.jp/r/c.do?15f_2DF_3y_kqp