■日銀ウォッチ/
賃金上昇期待薄+供給超過継続=物価プラス幅拡大は困難
クレディ・スイス証券チ-フエコノミスト(マネージング・ディレクター兼経済調査部長)の白川浩道さん(Hiromichi Shirakawa/ Chief Economist, Credit Suisse Securities Ltd.)は13日、賃金が安定的な上昇基調に入るのは向こう2-3年は展望できないなどの理由から、「消費者物価が、安定的にプラス幅を拡大することも、当面はかなり困難」との見通しを示した――。
<労働指標と賃金の関係は崩壊した>
有効求人倍率や完全失業率といった労働指標と賃金の関係は崩壊した。
労働需要の堅調な伸びが長期化しても、賃金は、当面、上昇しないだろう。(1)労働参加率の下げ止まり、(2)非製造業の労働生産性の低さ(労働分配率の高さ)、(3)国際化の進展とコーポーレート・ガバナンスの変化、(4)産業構造の変化、(5)高齢化の進展、などが賃金の伸びを抑制すると予想されるからである。
特に注目されるのは、(4)産業構造の変化と(5)高齢化の進展である。
経済のサービス化を反映し、今後、新規雇用の多くはサービス業で創出されるとみられるが、労働生産性の低さからサービス業従業者の賃金水準は相対的に低い。製造業は世界的なITバブル崩壊後の積極的なリストラと世界経済の回復という恩恵によって労働生産性を大きく回復させたが、非製造業では、リストラの遅れと国内個人消費の低迷継続を受けて労働生産性が回復していない。また、就業人口の高齢化は所得水準が下落基調に入る就業者のシェアを増加させる。要するに、労働市場では生産性が低く、賃金水準が相対的に低い労働者が趨勢的に増えるとみられ、これが賃金の下押し要因となる。
<国内景気が大幅上振れない限り、賃金の安定的な上昇基調はなし>
国内景気がよほど大きく上振れない限り、賃金が安定的な上昇基調に入ることは、向こう2-3年は展望できない。加えて、財・サービスの市場では、供給超過状態が是正されていない。このため、消費者物価が、安定的にプラス幅を拡大することも、当面はかなり困難であるとみられる。こうした点を受け、弊社では、CPI(除く生鮮食品)前年比について、07年度+0.1%、08年度+0.5%を予想している。
(注)デフレ 脱却との関連については後日、詳報する予定です。(編集部)
▼GDP改訂の背景/
日本経済の景色を一変させた内閣府の「メガネ」
東海東京証券チーフエコノミストの斎藤満さん(Mitsuru Saito/Chief Economist, Tokai Tokyo Securities Co.,Ltd.)は13日、「メガネを変えると景色は変わるものだが、今回のGDP改定で、日本経済の景色が大きく変わってしまった」として、これが日銀の追加利上げに対して、当面大きな壁となって立ちはだかりそうだ、との見方を示した――。
<メガネ=「季節調整」の変更で、個人消費や設備投資を下方修正>
7-9 月の1 次速報値の後では、今年度の実質成長率は3%近くになる、との見方が多かったが、2 次改定値が出た後では、これが一気に2%前後に引き下げられそうだ。名目成長率も、改定前には今年度上期の前年比成長率が1.7%あって、政府見通しの2.2%に近い数字が可能と見られていたが、改定後には上期の数字が前年比1.0%に引き下げられ、政府見通しの達成はほぼ不可能となった。政府関係者の間には、この限界的な数値の悪化を日銀のゼロ金利解除のせいにしようとするものまで現れる。
しかし、実態が大きく変わったわけではない。もちろん過去の歴史が変わったわけでもない。
単に内閣府が経済を描写するメガネを変えただけで、これほどまでに景色が変わってしまったのだ。少なくとも、1 次速報値と2 次速報値の間のわずかな期間に、限界的な景気の悪化が生じたわけではない。7-9 月の実質成長率は1 次速報の0.5%から2 次速報では0.2%に低下したが、その要因は「季節調整」の変更で個人消費が0.2%引き下げられ、財務省の「法人企業統計」の7-9 月分が出たことで、これを基礎統計とする設備投資と在庫投資が下方修正されたことが原因。少なくとも9 月の数字が悪かったためではなく、従って日銀の利上げのためでもない。何より、ゼロ金利下にあった昨年度の成長率が、名目で当初の1.8%から1.0%に、実質成長率も3.3%から2.4%に大きく引き下げられている。しかし、この時期になぜこれほどの成長率下方修正がなされたのか、釈然としない点も多い。
▼経済指標を読む/
06年経常黒字=通期では過去最高更新の可能性大
クレディ・スイス証券チ-フエコノミスト(マネージング・ディレクター兼経済調査部長)の白川浩道さん(Hiromichi Shirakawa/ Chief Economist, Credit Suisse Securities Ltd.)は13日、財務省が発表した10月の国際収支状況について次のようにコメントした――。
①経常黒字額は所得収支の拡大が寄与し、前年比5.2%増の1兆5146億円
②2006年通年では過去最高だった2004年の18.6兆円を越える可能性大
③10月の対外証券投資は2兆3797億円の買い越しに転じた
財務省が発表した10月の国際収支状況によると、経常黒字額は前年比5.2%増の1 兆5146億円となり、ほぼ事前予想の範囲内であった。貿易・サービス収支は、輸入の大幅増(輸出の前年比11.1%増に対し同17.1%増)を反映し、貿易黒字額が前年比18.9%減少したことや、サービス収支の赤字額が前年の2772億円から3363億円へと拡大したことから、前年比36.0%減少したものの、所得収支が前年比36.3%増の1 兆1798億円へと拡大した。
▼今日の株価予想/
利益確定売りこなしつつ、慎重に上値試す動き
T&Cホールディングス(代表取締役兼CEO・田中茂樹氏)グループの投資情報会社トレーダーズ・アンド・カンパニー(代表取締役・野田和宏氏)は今朝、今日の株式相場の見通しについて、次のように予想した――。
本日の東京市場は買いが先行しそうだ。
米国株式の反発に加えて、117円台半ばまで円が軟化していることや、年内の利上げは見送られるとの報道などが好感されよう。ただ、ここ2週間と少しで日経平均株価はすでに7%近い急上昇になっていることから、利益の確定売りも出やすい局面ではある。そのため、本日はこの売りをこなしながら、慎重に上値を試す動きになりそうだ。
テクニカル分析
昨日の日経平均株価は3日続伸。12月12日高値16682円を上回り、目先では12月8日安値16387円からの上昇トレンドが見られる。また、11月安値15615円(27日)からのより長い期間の上昇トレンドもあらためて確認された。前日に10月27日安値16643円からのマドを埋め、10月下旬のもみあいゾーンに到達したことで、そのゾーンの上限である10月高値16901円(24日)が次の目標になる。なお、16901円~16643円の中値16770円水準も1つの上値目途になろう。
一方、11日安値16583円が直近の下値のサポート。昨日も安値は16589円と、この水準で下げ止まっている。ただし、これを割り込むと、昨日の高値(終値)16692円が目先でのピークとなる可能性がある。それでも、16500円という心理的な節目が強いサポートになろう。
話題の銘柄
野村総合研究所(4307)/利益面の安定感と豊富なキャッシュに注目
みずほでは、同社の業績予想を上方修正。今2007年3月期を会社計画420億円(EPS652.4円)に対して、従来予想の400億円(EPS627.8円)→428億円(EPS669.6円)、来2008年3月期を同403億円(EPS632.7円)→443億円(EPS691.8円)、2009年3月期を同421億円(EP662.2円)→469億円(EPS733.6円)に引き上げた。得意分野である証券向けの市況はピーク圏にあるが、証券システム業界でシェアを拡大し、優位なポジショニングにあるとみている。また、転換社債500億円の発行により、結果的に自己株式と合わせて1000億円規模のM&Aの軍資金を持つ形となったと指摘。利益面の安定感と、約1400億円のネット・キャッシュ(投資有価証券含む)を保有する強固なB/Sを背景に、再編期に向けてのセクター内大型株の相対的な銘柄の選択肢として有力であるとした。2009年3月期のみずほ予想ベースDCFVにおける理論株価を18200円とし、投資判断を「3」→「2」へ引き上げた。
トレーダーズ・ウエブ: http://www.traders.co.jp/
▼Net Investor/売買人気15銘柄中トップ銘柄
【13日】売り、買いともに=ソフトバンク
ネット証券評議会は13日(水)夕刻、同日の同評議会参加5社(松井証券、イー・トレード証券、カブドットコム証券、楽天証券、オリックス証券)合計の「売買代金上位15銘柄」を公表した。
同日分の日次データは以下の通り――。
●東証IPO銘柄
■中山福株式会社 (7442)
http://www.tse.or.jp/listing/new/200612/12nakayamafuku.html
中山福株式会社は個人創業以来82周年を迎える、フライパン・鍋などの家庭 金物用品の専門商社であり、社会と共存し、社業を通じて、株主の皆様・仕入 先・販売先・社員その他関係者の方々の「幸」の実現と、社会の発展に貢献することを経営理念としております。「より良い商品をより安く」をモットーとし、グローバルな視野で売れ筋商品の開発に取り組み、『量より質』、『売上高よりも収益』を重視した経営に取り組み、配当性向35%以上を遵守してまいります。
同社ホームページ http://www.nakayamafuku.co.jp/
▼ユーロ円相場/
高値更新ごとに周辺ストップ・ロス巻き込みジリジリ上昇
元為替ディーラーで、『フォレックス・ディーラー物語』(http://www.d4.dion.ne.jp/~smatt/)の松田哲さん(Satoshi Matsuda )は為替相場の見通しについて、概ね次のようにコメントした――。
12日は、米国貿易収支と、FOMC(Federal Open Market Committee:連邦公開市場委員会)が
ありましたが、あえて、無視します。
米国貿易赤字は、巨額の赤字ですし、予想よりも良かったとか、悪かったといっても、要するに『赤字は赤字』。解釈の仕様によっては、どうとでも「ドル売りの材料」に出来ます。FOMCは、予想通りにドル金利据え置き。「織り込み済み」。
ドル/円相場
12日の東京市場のドル/円(USD/JPY)は、116円台後半---[116.70-80]レベル---でオープン。
---東京市場のオープン(寄り付き)は、東京時間午前9:00。---
昨日(12月12日)は、東京市場、ロンドン市場、ニューヨーク市場と、終日、動きらしい値動き無く、小動き。116円台後半から117円台前半で、[117.00]を挟んで、動かず。レンジは、概して[116.70-117.20]程度。
▼FX市場ウォッチ/
金利先物でみれば、市場は極めて単純な構図にある
マットキャピタルマネジメント代表取締役CEOの今井雅人さん(Masato Imai/ President CEO, Matt Capital Management)は13日、現在の為替相場について、金利先物の視点から次のようにコメントした――。
12日の米国金利市場における短期金利商品を少し分析してみたいと思います。
昨日のユーロドル3ヶ月物先物(通称ユーロドルフューチャー)の価格を見ると、
Mar(3月限月) 94.74
Jun(6月限月) 94.99
また、FF先物(FED FUND FUTURE)では、
Jan(1月限月) 94.76
Feb(2月限月)も 94.76
Mar 94.79 ・・・・
May 94.88
となっています。
金融先物は100-金利で値が立っています。
例えば、金利が5.25%であれば100-5.25=94.75となります。
<ECB利上げ確実なら、当然、円安・ドル安・欧州通貨高>
さて、現状の価格レベルで考えてみると、3ヶ月物も、FFレートも3月まではほぼ94.75近辺つまり、3月の時点で短期金利は5.25%であると予想しているといえます。6月になると100-94.99=5.01%となり、0.25%の利下げをほぼ100%織り込んでいるわけです。
▼今日の債券相場/
LIFFE軟調地合いで下落も下値は限定的
日興シティグル-プ証券会社・債券本部チ-フストラテジストの佐野一彦さん(Kazuhiko Sano/ Chief Strategist, Nikko Citigroup Ltd.)は今朝、債券相場(長期金利)予想について、概ね次のようにコメントした――。
本日の想定レンジとコメント …下落も下値は限定的、カーブは徐々に再度フラット化基調と見る
日経が1面で利上げ年内見送りと報じた。これで同材料を好感する時間帯も一旦、終了。しかし、消費と物価がポイントなら、1月までの指標でそれらを点検、利上げに踏み切るのは容易ではない。さて、今週は米債に目が向わないと見ていたが、「短観・金融政策モード」が終わったため、状況が変わった。米消費好調(強かった11月小売売上)は日銀にも朗報。したがって、昨日と違ってLIFFEの軟調地合いを素直に受け止めて下落しよう。しかし、下値は限定的で、カーブは徐々に再度フラット化基調と見る。(AM6:43、佐野さん)
本日の想定レンジ(長国先物3月限) : 134円46銭 ~ 134円85銭
ニュース・チェック
★午前の東京市場=株価は、内需関連が買われ、年初来高値に接近
今日午前の東京株式市場は内需関連が買われ、年初来高値に接近。日経平均 が終値で前日比+66.14円高の16759.07円、またTOPIXも同+6.37高の1645.56、JASADAQ指数は同+0.14高の86.55となった。全銘柄中で値上がり率上位3銘柄はナトコ(4627)、メディシノバ・インク(4875)、バロー(9956)。またドル円相場は117.37-117.40円前後で推移、ユーロ円は155.05-155.12円前後で推移している。
★注目企業=IR情報+ニュースリリース
日本リテールファンド投資法人(8953)
■投資法人債の発行に関するお知らせ
http://www.jrf-reit.com/ir/index.html
本田技研工業株式会社(7267)
■“剰余金の配当に関する基準日公告”を掲載しました。
http://www.honda.co.jp/investors/notice/2006/20061213.html

