日本経済ウォッチ・改訂CPIと債券投資・経済指標を読むほか

▼日本経済ウォッチ/
  米景気堅調のなか、景気には上振れ要因が目白押し


クレディ・スイス証券チ-フエコノミスト(マネージング・ディレクター兼経済調査部長)の白川浩道さん(Hiromichi Shirakawa/ Chief Economist, Credit Suisse Securities Ltd.)は、「景気に上振れのリスク」があるとし、「債券市場の金融政策観は誤っている可能性が高い」との認識を示した――。

ポイント:
米国景気の堅調推移が予想される中で、円安傾向の長期化、調整が浅く終わりそうなハイテク部門、拡大モメンタムがつく国内不動産市場など、景気には上ぶれ要因が目白押しである。従って、債券市場の金融政策観は誤っている可能性が高い。

1.米国景気の堅調推移
まず、第一に、米国景気が来年にかけて予想以上の好パフォーマンスを示す可能性がある。
バーナンキ議長は、エネルギー価格と金利政策をリンクさせたという意味で、金融政策運営を単純化したが、その結果、追加利上げが困難になった。原油価格が、追加利上げを必要とする76-77ドルから下方に大きく乖離し、70ドル近傍で安定しているからである。無論、ハリケーンや地政学的なリスクなど不確定要素はあるが、これまでの利上げによる流動性の縮小が投機マネーの動きを徐々に弱めている模様であり、原油価格が再度大きく上昇する可能性は向こう半年程度は低いだろう。

<住宅投資の調整は、循環的にはかなり進捗した>

利上げが一時的にせよ停止すれば、米国の住宅投資は早晩落ち着くものと予想される。
米国の住宅着工は過去の局面に比べてボラティリティが高く、その分、データを読みずらい部分もあるが、直近のピーク(今年1 月)、ボトム(今年7 月)では、既に21%も調整しており、これは、95 年4 月、00 年7 月にかけてのピーク・ボトム調整率(それぞれ20.1%、18.4%)に匹敵する。住宅投資の調整は循環的にはかなり進捗したと判断される。

また、個人のモーゲージ借り入れ金利は、賃金の伸びでデフレートした実質でみた場合、かなり低い。つまり、長期固定のベースでは、直近では2.1%と86 年以来の過去20年平均の5.1%を大きく下回っている。米国の個人にとって、これまでの金利上昇は脅威ではない。

住宅投資が下げ止まった場合、米国景気は再浮上する可能性がある。企業部門ではキャッシュフロー対比で設備投資が出遅れており、設備投資のエンジンが本格的にかかってもおかしくないからである。

▼改訂CPIと債券投資/
 目先の金利低下に拘ると、大幅金利上昇のしっぺ返し


東海東京証券チーフエコノミストの斎藤満さん(Mitsuru Saito/Chief Economist, Tokai Tokyo Securities Co.,Ltd.)は、「改定消費者物価で金融政策は?」と題して次のように語った――。

消費者物価(CPI)の基準改定が大方の予想に反して低い物価上昇率をもたらしたことから、金融市場では「追加利上げの可能性後退」の見方が広がり、債券相場が暴騰(長期金利が急低下)した。

<竹中大臣と経済統計ショックの奇遇な縁?>

ちょうど2年前の夏、10年国債の利回りが1.9%台に高まり、政府財務省が危機感を強めていたときに、04年4-6月期の実質成長率がやはりエコノミストの事前予測に反してマイナスとなり、金利が急低下した時の状況と重なった。

「長期金利を名目成長率よりも低く抑えるのが望ましい」とする竹中大臣が、いずれの統計においても所轄大臣であったことは、奇妙な偶然だ。統計発表後、竹中総務相は、「緩やかなデフレが続いていることを再確認した」とのコメントを出し、暗に日銀の追加利上げを牽制する形となった。はたしてこれで追加利上げができなくなるのだろうか。

それでも日銀は年内に2回目の利上げを行うことになるのではないか。そもそも、いまだに「デフレが続いている」という認識自体、極めて少数意見で、今回は政府・財務省もこの認識とはやや距離をおいているように見える。小泉政権の花道として「デフレ脱却宣言」を行う可能性すら残っている。そもそも今回の消費者物価は、確かに大幅な下方修正がなされているものの、全体、コアともに5月以降はゼロ以上になっており、必ずしも「デフレ継続」を正当化するものではない。

▼経済指標を読む/
  7月家計調査=勤労者世帯の消費支出は依然低迷


クレディ・スイス証券チ-フエコノミスト(マネージング・ディレクター兼経済調査部長)の白川浩道さん(Hiromichi Shirakawa/ Chief Economist, Credit Suisse Securities Ltd.)は29日、総務省が発表した7 月の勤労者世帯の実質消費支出について、「勤労者世帯の収入増はサプライズだったが…」として、次のようにコメントした――。

総務省が発表した7 月の勤労者世帯の実質消費支出は前年比2.0%減少と、当社の予想(同4.4%減)を上回ったものの、コンセンサス予想(同1.7%減)を若干下回った。季節調整済み前月比では1.7%減少と2ヶ月連続でマイナスとなり、家計調査報告ベースでの勤労者世帯の消費支出は依然低迷していることが確認された。

<ガソリン支出の増加が、他の支出を抑制か>

項目別に見ると、ガソリン価格の高騰を受け、交通・通信が前年比16.1%増加し、全体の増減率に対して1.94%ポイント寄与したものの、教養娯楽(前年比5.6%減)、保険医療(同11.8%減)、住居(同5.2%減)が、それぞれ-0.60%ポイント、-0.52%ポイント、-0.36%ポイントずつ寄与し、全体を押し下げた。ガソリン支出の増加が、他の支出を抑制している可能性が高いことを示唆している。

<臨時収入・賞与の大幅増加は、昨年同期の大幅減少への反動増>

今回サプライズだったのは、勤労者世帯の実質実収入が前年比5.9%増と、昨年6 月以来13ヶ月ぶりにプラスに転じたことである。世帯主の定期収入が前年比0.3%増にとどまり、配偶者の収入が同5.7%減少する中で、臨時収入・賞与が同25.9%増加し、全体の伸び率に対して5.93%ポイント寄与した。6 月と合わせても、実質3.6%増加となり、夏のボーナスが好調だったことを反映しているものと考えられる。
しかし、こうした高い伸び率は、昨年同期に大幅に減少していたことへの反動増である点に注意すべきである。

▼米国発株価調整/
  第2の危機=一時的だが9.20FOMC以降に到来?


日米欧の株式市場で、ここ3ヶ月の調整局面を脱し、ボックス推移から抜け出そうとする動きが見られる。しかし、大和総研・投資戦略部シニアストラテジストの成瀬順也さん(Daiwa Institute of Research Ltd. DIR)は、「これで世界同時株安が終了したと判断するのは早計だろう」として、次のように語った――。

<第一の危機は「見せ掛けの調整」だった>

米国発の株価調整は二段ロケットと考えられる。
最初の調整は金融政策を巡る混乱。金融引き締めを終了するかどうか大事な判断を迫られる時期にFRB(連邦準備制度理事会)議長が交代するという不運から、FRBに対する不信感が高まった。新生FRBの「市場との対話」能力が向上したことから、第一の危機は過ぎ去ったと考えられる。ただし、これは見せ掛けの調整である。本家本元の米国株は下落したというより、乱高下を余儀なくされただけである。

より本質的な第二の調整は、利上げ効果による米国経済の減速によってもたらされよう。当初、漠然とした不安でしかなかった米景気減速が現実のものとなると、株式市場は一層の減速、つまりはゼロ成長への失速や景気後退を懸念するようになる。それが現実のものとなってしまえば、米国株は底割れ、日欧は米国以上、BRICsはさらに大きい株価下落を余儀なくされよう。

<「景気減速指標」への見方が180度変わる>

ただし、実際には、米国経済はソフトランディングに成功すると見ている。第二の株価調整も、あくまで市場の過剰悲観によるもので、一時的なものとなろう。調整のタイミングであるが、米国発であるから、当然、米国のスケジュールが大事になる。次回9月20日のFOMCまでは下値不安が小さい。景気減速指標が発表されても、利上げ打ち止め期待が高まるためである。

▼今日の株価予想/
 昨日の高値突破なら、16,000円台トライの可能性強まる


T&Cホールディングス(代表取締役兼CEO・田中茂樹氏)グループの投資情報会社トレーダーズ・アンド・カンパニー(代表取締役・野田和宏氏)は今朝、今日の株式相場の見通しについて、次のように予想した――。

本日の東京市場では、下値での買いが続きそうだ。
米国市場では、今週は利上げ休止の継続期待からナスダックがしっかりとした値動きになっており、これが東京以上でもハイテク株や小型株の押し目買いにつながるだろう。一方、来週のSQや9月中間決算期末を控え、株式持ち高の整理売りへの思惑が上値を重くしている。そのため、本日も需給を確認しながら、押し目買いにより下値を固める動きになりそうだ。 

テクニカル分析
昨日の日経平均株価は、15890.56円+127.97と5日ぶりの反発。ザラバでは15811円~15946円の値動きと、前日のレンジの中での取引となったことで、相場の方向の判断は翌日以降に持ち越しになった。昨日の高値突破となれば、16000円台へのトライの可能性が強まる。この大台は、今月の高値16244円(8月22日)~今週の安値15745円(8月28日)までの下落のほぼ半値戻しに当たる。また、今週の高値(28日)も16005円であり、ここを上回ると目先では15745円を底値とする上昇トレンドが期待できる。一方、昨日の安値を割り込むと、注目される支持線である15700円水準を試す可能性が強い。ここは、8月の安値~高値までの上昇(7日安値15154円~22日高値16244円)に対する半値押しの水準である。また、このそばには、かつては強い上値抵抗線になっていた7月高値15710円(7月4日)もある。なお、昨日は100日移動平均線15830円が200日移動平均線15846円を下回るデッド・クロス(DC)となった。昨年3月10日にゴールデン・クロスとなってから1年半ぶりのことである。なお、前回のDCは、04年10月25日のこと。このときは、この日の安値10575円を底値に、短期では11月16日の高値11268円まで693円(6.5%)の上昇、また中期では05年3月7日の高値11975円まで1400円(13.2%)の上昇となった。

話題の銘柄
スズキ(7269)/長期成長への期待は益々高まった

大和では、「償却負担の増加が重くインドネシアが最悪期の4-6月期決算が、為替の恩恵もあったとはいえ事前予想以上の約2割の営業増益であった上、8月9日に発表した軽自動車の減産と輸出用小型車の増産の方針で、製品構成の改善と販売費用の軽減が見込めるようになったことから、従来の『短期的な業績増額修正余地は小さい』との見方は修正することが適切であると考える」、「8月9日発表の国内新工場など一連の方針は、5カ年計画で目指す海外を中心とした販売拡大・利益拡大の方針に沿ったもので、長期的な成長期待は益々高まったと考える」と指摘。今2007年3月期連結営業利益を会社計画1150億円(EPS149.6円)に対し従来予想1210億円(EPS149.6円)から1320億円(EPS167.7円)へ、来2008年3月期同1390億円(EPS174.5円)から1450億円(EPS188.1円)へ、2009年3月期同1680億円(EPS217.5円)から1800億円(EPS235.7円)へ増額。レーティングを「3」から「2」へ、目標株価を従来の2800円から3200円へそれぞれ引き上げた。

トレーダーズ・ウエブ: http://www.traders.co.jp/

▼Net Investor/売買人気15銘柄中トップ銘柄
【29日】売り、買いともに=ソフトバンク

ネット証券評議会は29日(火)夕刻、同日の同評議会参加5社(松井証券、イー・トレード証券、カブドットコム証券、楽天証券、オリックス証券)合計の「売買代金上位15銘柄」を公表した。

同日分の日次データは以下の通り――。

▼ユーロ円予想/
 投げで落ちても大天井だった、とは言いがたい


アキ投資顧問・社長の堀内昭利さん(Akitoshi Horiuchi/ President, AKI Investment Advisor)は今朝、為替相場について概ね次のようにコメントした――。

(ユーロ円が)150円達成、ご苦労様って感じ。
鈴をつけに行ったら、猫でなくムジナだったって印象。ストップがあるとか一部騒がれていたけどそんな情報は皆無だったよ。達成感で落ちていると言っても夜中でもまだ149円を切れていないし、221円も切れていない。持っていれば何とかなるだろう的ファンドのポジションが強大だからね。この後、投げが出て落ちたりしても大天井だったとは言いがたいね。

欧州通貨は、欧州とNYと動きが正反対。どっちにしてもたいした相場じゃないって感じ。
ドル円? 最近、人民元の動きの話のほうが多いから、ドル円はそれ以下って事だ。

(8月30日。水曜日。夏よ、もう行くの? と思う日。)

▼ユーロ円予想/
 150円突破するも、「まだまだ道半ば」と考える


マットキャピタルマネジメント代表取締役CEOの今井雅人さん(Masato Imai/ President CEO, Matt Capital Management)は今朝、ドル円相場の見通しについて次のようにコメントした――。

昨日はとうとうユーロ円が150円つけて、すぐ後に激しい利食いが入り、そこに更に谷垣財務大臣がユーロ円の動きに懸念を示したことで、下落が加速し、1円ほど落ちました。しかし、谷垣さんもフランスやドイツに配慮して発言しただけで、本気で懸念しているわけではないと思います。

そんなことを見透かされてか、相場はすぐに戻ってきます。節目の150円をつけたことで、ちょっと足踏みするかもしれませんが、環境は何も変わっていません。私はまだまだ道半ばと考えています。

▼今日の長期金利/
  急低下後の落ち着きどころを探ってもみ合う


三菱UFJ 証券・金融市場戦略部チ-フ債券ストラテジストの石井純さん(Jun Ishii/ Chief Fixed Income Strategist, Mitsubishi UFJ Securities Co.,Ltd.)は今朝7:30、長期金利(債券相場)予想しについて、概ね次のようにコメントした――。

<予想レンジ>
・ 長期金利(#280-08)1.685%~1.710%
・ 債券先物(9月限) 134.20円~134.45円

<シナリオ>
長期金利は急低下後の落ち着きどころを探ってもみ合う。次の材料待ち。

債券先物チャート
9月限の日足は上影陰線・寄り付き坊主。スピード調整。ただし、下ヒゲで足元のマド(134.19円:8月25日のザラバ高値)を埋めた後、下値抵抗力を見せた。

▼今日の債券相場/
 1.60~1.80%が新たなコア・レンジ?目先、下値は堅い


日興シティグル-プ証券会社・債券本部チ-フストラテジストの佐野一彦さん(Kazuhiko Sano/ Chief Strategist, Nikko Citigroup Ltd.)は今朝、債券相場(長期金利)予想について、概ね次のようにコメントした――。

本日の想定レンジとコメント …1.70%前後は堅そうだ
10 年国債利回りの低下目処は一旦、1.665%で固まった。昨日からは上昇余地を探り始めている。今日は新規材料に乏しく、まずは1.70%前後の押し目買いの強さを確かめる展開と予想する。1.60~1.80%が新たなコア・レンジと見られる中、目先、下値は堅いと考える。(AM6:30、佐野さん)
本日の筆者の想定レンジ(長国先物9月限) : 134 円25 銭 ~ 134 円51 銭

ニュース・チェック
★午前の東京市場=株価は、追い風ながら利益確定売りで上値限定的
今日午前の東京株式市場は米株高や原油安という追い風はあるものの、利益確定売りに押され上値は限定的。日経平均 が終値で前日比+45.58円高の15936.14円、またTOPIXも同+2.51高の1618.50、JASADAQ指数は同-0.26安の94.41となった。全銘柄中で値上がり率上位3銘柄はエヌアイシ・オートテック(JQ非鉄金属 5742)、ハルテック(大証1部金属製品 5916)、鉄人化計画(東証マザーズサービス業 2404)。また、ドル円相場は116.75-116.80円前後で推移、ユーロ円は149.82-149.87円前後で推移している。

★日本リテールファンド=運用状況予想を上方修正、今期利益は28%強の増益
日本リテールファンド投資法人(8953)が29日、発表した平成18年8月期及び平成19年2月期運用状況の予想の修正(下の表参照)によると、平成19年2月期は営業利益が6.94%上方修正して16,462百万円、当期純利益が28.45%上方修正して4,776百万円、1口当たりの分配金は1.81%上方修正されて15,788円となった。今回の上方修正は、29日開催の役員会で決議した、借入金の返済及び新たな特定資産の取得等のための資金調達を目的として投資口の追加発行に伴うものと言う。

★注目企業=IR情報+ニュースリリース

日本リテールファンド投資法人(8953)
08/29 平成18年8月期及び平成19年2月期運用状況の予想の修正に関するお知らせ
08/29 公募による投資口の追加発行及び売出しに関するお知らせ
http://www.jrf-reit.com/ir/index.html

株式会社デンソー(6902)
デンソー、ロシアのモスクワに事務所を設置
http://www.denso.co.jp/ja/newsreleases/060829-01.html

株式会社サイバーエージェント(4751)
ゲーム内広告代理店 株式会社アドプレイン設立について
http://www.cyberagent.co.jp/