▼米FOMCと日銀利上げ/
日銀の追加利上げ=最短でも10.31決定会合
クレディ・スイス証券チ-フエコノミスト(マネージング・ディレクター兼経済調査部長)の白川浩道さん(Hiromichi Shirakawa/ Chief Economist, Credit Suisse Securities Ltd.)は、米FOMCで追加利上げを見送ったことを踏まえ、今後の日銀による追加利上げなどの金融政策について次のような見通しを示した――。
ポイント:
7 月27 日の日本経済アドバイザーでは、政策委員のタカ派的な発言が相次いだ状況を踏まえ、9 月8 日の日銀金融政策決定会合における0.25%の追加利上げの可能性に言及した。しかし、4-6 月期GDP 統計や7 月雇用統計を受けた米国景気鈍化観測から、今回FOMC が追加利上げを見送ったため、日銀の政策運営の自由度は短期的にはかなり低下したとみられる。追加利上げは、最短のケース(リスク・シナリオ)でも10 月31 日の決定会合となるだろう。なお、弊社では、日銀が来年央にかけての米国景気の減速度合いを年内に見極めるのはやや困難、と考えており、追加利上げは来年1-3 月期との基本シナリオを据え置く。
<FOMC、インフレ圧力に関する評価は定まっていない?>
昨日のFOMC は、弊社の予想どおり、FF 金利の5.25%での据え置きを決定した。
もっとも、ステートメントをみる限り、FOMC のインフレ圧力に関する評価は定まっていないようである。「しかしながら(However)」、「そうは言っても(Nonetheless)」と、2 度にわたって否定表現が用いられているからである。
すなわち、ステートメントでは、「コア・インフレ率は最近上昇しており、高水準の経済資源稼働率とエネルギー・商品価格がインフレ圧力を高める可能性がある」、「しかしながら、インフレ圧力は、インフレ期待の抑制やこれまでの金融引き締めの累積的な効果等を反映して、今後徐々に鈍化するものとみられる」、「そうは言っても、委員会はインフレ・リスクが残っていると判断している」、と記述された。FOMC は、基本的に、利上げ局面が終盤に近づいていることを示唆する一方、追加利上げの余地を残した、と判断される。
▼経済指標を読む/
7月マネーサプライ=特殊要因で予想外の伸び率鈍化
クレディ・スイス証券チ-フエコノミスト(マネージング・ディレクター兼経済調査部長)の白川浩道さん(Hiromichi Shirakawa/ Chief Economist, Credit Suisse Securities Ltd.)は8日、日銀が発表した7 月のマネーサプライ統計について次のようにコメントした――。
<統計が新基準になって以来最大の減少幅>
日銀が発表した7 月のマネーサプライ統計では、M2+CDの伸び率は前年比0.5%増と、事前予想(当社:1.4%増、コンセンサス:1.3%増)を大幅に下回った。季節調整済み前月比年率換算では5.5%減と、統計が新基準になって以来最大の減少幅となった。同ベースで、M2+CD は昨年7-9 月期に2.4%増を記録した後、10-12 月期には2.1%増、2006 年1-3 月期には0.7%増、4-6 月期には0.4%増と伸び率が鈍化している。景気回復は続いているものの、マネーサプライの伸び率には、なかなか反映されにくい状況が続いている。
7 月のM2+CD の前年比伸び率が前月の1.2%から0.5%へと大幅に鈍化した背景には、預金通貨が同4.5%増から3.5%増へ鈍化したことと、CD が同4.7%減から10.9%減へとマイナス幅が拡大したことが挙げられる。この2つで全体の伸び率を0.6%ポイント押し下げた。
預金通貨の伸び率の鈍化に関して、日銀では地方交付税の支払いが例年より前倒しで6 月に支払われており、その分が7 月に剥落したことが一因であると説明している。ただし、それでも0.2%ポイントの寄与しかないため、残りの部分は、他の金融資産へのシフトや、景気回復を背景に、法人税や消費税などの税の支払いが増加していることなどが考えられる。
<広義流動性も、市場の事前予想を大幅に下回る>
広義流動性も前年比1.7%増と、6 月の同2.2%増から0.5%ポイント鈍化、市場の事前予想(同2.3%増)を大幅に下回った。この鈍化分のうち0.3%ポイントにM2+CD が寄与している。その他のコンポーネントでは、金銭信託(前年比54.2%増)や投資信託(同13.2%増)が、引き続き高い伸び率となった一方、年初まで2 ケタ台の伸び率だった外債は同0.7%増と低水準にとどまった。
なお、上述したように、預金通貨の減少の一部は他の金融資産へシフトしたと考えられるのだが、M2+CD を除く広義流動性の伸び率も前年比2.9%増と前月の3.3%増から鈍化していることからすると、広義流動性以外の資産、たとえば株式などへシフトしている可能性がある。
▼株式市場ウォッチ/
信用買い残の整理進み、「重石」がもう1つ外れる
わが国の株式市場に重石となってきた材料として、
(1)米国の金融引締め、(2)地政学リスク、そして(3)株式市場での大きな信用買い残があった。
東海東京証券チーフエコノミストの斎藤満さん(Mitsuru Saito/Chief Economist, Tokai Tokyo Securities Co.,Ltd.)は、「このうち、地政学リスクは依然として懸念材料になっているが、残りの2つには光がさし始めた」と語る。
<海外投資家=信用残については売りの根拠が薄れつつある>
米国の利上げが最終段階に来て、市場が利下げを展望するようになり、日本の信用買い残が、この春の水準と比べると、2兆円近く減少してきたためだ。 東名阪3市場での信用買い残は、2月に一時6兆円のピーク(東証では5.6兆円)をつけたが、8月はじめには4兆円(東証では3.8兆円)にまで整理が進んだ。3市場では約2兆円の減少となる。
米系ファンドなどには、地政学リスクに加えて、この信用買い残の大きさをみて、日本株の売りを進めてきたところがあるが、少なくともこのうちの信用残については、売りの根拠が薄れつつある。昨年秋の株価急騰前には、この残高が3兆円弱であったから、これに比べるとまだ1兆円あまり大きいが、今のペースで整理が進むと、この秋には昨年秋のレベルに近づき、株式市場の重石がもう1つ外れることになる。
▼今日の株価予想/
PM2時発表の機械受注意識しながら値固めへ
T&Cホールディングス(代表取締役兼CEO・田中茂樹氏)グループの投資情報会社トレーダーズ・アンド・カンパニー(代表取締役・野田和宏氏)は今朝、今日の株式相場の見通しについて、次のように予想した――。
本日の東京市場は様子見気分の強いスタートになりそうだ。
昨日は大幅上昇となった後だけに、利益の確定売りが上値を押さえやすい。また、利上げ休止にもかかわらず、米国株式 が下落したことも戻り売りを誘うだろう。ただ、このFOMCの結果は事前の市場の見方に近いものであり、これに対する米国株式の反応も含めてサプライズとはいえない。したがって、東京市場では好業績銘柄の押し目には引き続き買いが入りそうで、これが相場の下値支えになる。その上で、午後2時発表の機械受注統計を意識しながら、値固めの動きになりそうだ。
テクニカル分析
昨日の日経平均株価は急反騰となった。買い先行でスタートすると、そのまま先週の安値15287円を上回り15300円台へ。さらに、終盤買われて前日前場の引け値 15449円を上回り、前日後場の急落分を完全に取り戻した。また終値も、先週の終値 が集中した15440円(8月1日)~15499円(同4日)の狭いゾーンに戻った。そのため、相場は1日半をかけて「行って来い」の形になった。そこで、昨日の高値15476 円を上回ると、先月の安値14437円(7月18日)~今月の高値15580円(8月3日)までの上昇に対する調整は終了し、目先では15154円(8月7日)を底値とする上昇トレンドが明確になる。さらに8月7日の高値15516円を突破できれば、15580円超えから7月 の高値15710円(7月4日)がターゲットになる。一方、下値は昨日前場半ばから形成したもみあいゾーンの15300円台が最初の支持線。ただし、昨日の安値15189円を下回ると、下落基調の確認から、心理的な節目の15000円が下値の目標になる。
話題の銘柄
住友チタニウム(5726)/今年度は再上方修正の公算、収益は拡大基調強める
三菱UFJでは、「住友チタニウムは高品質で世界最大のスポンジチタン(半製品)メーカー。同社の収益力は数量増と販価上昇のダブルメリットを享受し、ここ数年間で変貌を遂げてきた。今後は更なるチタン需要の大幅な拡大が見込めることに加えて、長期にわたる価格上昇基調が続くと思われ、供給能力増強が進むにつれ同社の収益は拡大基調を強めるものと思われる」、「金属チタンは生産技術が難しく、新規参入障壁が高い。ジェットエンジン向けなどに使われる高品質のスポンジチタンを安定的に生産できるのは世界でも同社を含め僅か2社しかない。このため、同社は民間航空機の需要増や次世代戦闘機の導入による恩恵を最大限享受しよう」と指摘。今2007年3月期連結営業利益を会社計画143億円(EPS456.5円)に対し155億円(EPS489.1円)、来2008年3月期199億円(EPS625.0円)、2009年3月期240億円(EPS750.0円)と予想。今後12ヵ月間の目標株価を08年度予想PER49倍の36700円に設定。レーティング「1」で新規カバレッジを開始した。
トレーダーズ・ウエブ: http://www.traders.co.jp/
▼Net Investor/売買人気15銘柄中トップ銘柄
【8日】売り、買いともに=ソフトバンク
ネット証券評議会は8日(火)夕刻、同日の同評議会参加5社(松井証券、イー・トレード証券、カブドットコム証券、楽天証券、オリックス証券)合計の「売買代金上位15銘柄」を公表した。
同日分の日次データは以下の通り――。
▼今日の債券相場/
株価次第の面残るが、相場はもみ合い弱含み
日興シティグル-プ証券会社・債券本部チ-フストラテジストの佐野一彦さん(Kazuhiko Sano/ Chief Strategist, Nikko Citigroup Ltd.)は今朝、債券相場(長期金利)予想について、概ね次のようにコメントした――。
本日の想定レンジとコメント …もみ合い弱含みと見る。フラット化は続く公算があろう
昨日は株高とやはり低調の5年国債入札を受けて軟調。本日はこの地合いを引き継ぐ。FOMCの利上げ見送りは織り込み済み、かつ声明文から再利上げの可能性ありと理解され、フォローとはなり難い。株価次第の面も残るが、相場はもみ合い弱含みと見る。一方、フラット化は続く公算があろう。6月機械受注(船舶・電力を除く民需)は前月比若干増が予想の中心。(AM6:46、佐野さん)
本日の筆者の想定レンジ(長国先物9月限) : 132 円45 銭 ~ 132 円69 銭
来年度の国債発行計画の予想(2)
昨日、2007 年度の国債発行総額は155.0 兆円と推計でき、今年度の165.4 兆円から約10 兆円の減少になると試算した。次に予算ベースの市中分を考える。発行総額から、(1)日銀乗換、(2)財投債経過措置分(公的部門引受分)、(3)郵貯窓販、(4)個人向け国債…を除くことで得られる。
▼今日の長期金利/
米追加利上げの「休止」⇒債券押し目買いの材料
三菱UFJ 証券・金融市場戦略部チ-フ債券ストラテジストの石井純さん(Jun Ishii/ Chief Fixed Income Strategist, Mitsubishi UFJ Securities Co.,Ltd.)は今朝7:25、長期金利(債券相場)予想しについて、概ね次のようにコメントした――。
<予想レンジ>
・ 長期金利(#280-08)1.830%~1.855%
・ 債券先物(9月限) 132.50円~132.80円
<シナリオ>
長期金利は強含みにもみ合う。昨日、FRBが追加利上げを見送ったものの米長期金利が低下しなかったため、失望感が少々漂う。堅調見込みの機械受注統計(14:00)も嫌気する。ただ、日経平均株価の上値が昨日の米株安を受けて重ければ、金利反発余地は限られる。
米追加利上げの「休止」は債券押し目買いの材料。
休止時におけるFRBのインフレ警戒姿勢の堅持は常道なので、一時休止後の追加利上げが確実視されるわけではないからだ。むしろ今後、米景気の減速シグナルが増えれば、米追加利上げの確率は低下し、「休止」はやがて「打ち止め」へと結果的に変わっていくとみられる。そのことは、日銀の追加利上げシナリオにとって逆風になる。早めの連続利上げに対する警戒感が後退すれば、9月の国債大量償還もあって、買い戻しのインセンティブが徐々に強まるだろう。
債券先物チャート
9月限の日足は陰線ながら、下ひげで前日空けたマド(132.51円-132.61円)を埋め、
雲上をキープした。
▼NY原油高騰/
78.4$突破すれば、80$ブレイクは時間の問題
エース交易ホームトレード部の陳晁熙(チン・チョウキ)さん(Chen Chaur-Shi)は8日、NY原油先物相場について、「80ドルブレイクから一段高へ」として、概ね次のようにコメントした――。
<BPアラスカ油田=操業無期限停止で全米生産量の8%が永続的に消失?!>
英系メジャー(国際石油資本)BPが米国内最大のアラスカ州プルドーベイ油田の操業を無期限停止すると発表したことを受けて、NY原油先物相場は7日の時間外(アジア時間帯)取引で、一時76ドルちょうどに急伸した。翌日の通常取引でも、地合いは緩まず、一時77.3ドルに達し、76.98ドルと2ドル以上の急騰で引けた。
BPのアラスカ油田操業停止の原因は、パイプラインの腐食が原因で、無期限の停止と伝えられたことがサプライズとなった。もしこうなれば、日量40万バレル、全米の生産量の8%が永続的に失われる事になり、突発的な材料ではなくなる。この影響が強まれば、1週間毎に280万バレルが減少する事になり、現在の前年同期比で1500万バレル多い在庫は、数週間で前年を割りこむことになる。中東の地政学的リスクや、ハリケーンによる影響で高留まりしていた原油相場は新たな強材料を抱え込んだことになった。
ニュース・チェック
★午前の東京市場=株価は、FOMCで利上げ打ち止め感でず下落
今日午前の東京株式市場は早朝に発表された米FOMCで利上げ打ち止め感が出なかったことを受けてNY株式が下落、東京市場も一時200円近い下げとなった。日経平均 が終値で前日比-174.38円安の15290.28円、またTOPIXも同-15.07安の1547.66、JASADAQ指数は同-0.62安の90.50となった。全銘柄中で値上がり率上位3銘柄は石井工作研究所(JQMM 機械 6314)、イッコー(大証2部その他金融業 8508)、アルファグループ(JQ卸売業 3322)。またドル円相場は、115.65-115.70円前後で推移、ユーロ円は147.82-147.89円前後で推移している。
★カブドットコム証券=「法人口座」拡充で上場法人等も夜間取引に参加へ道
カブドットコム証券株式会社(8703)は9月1日(金)より、法人口座の対象に「上場法人」および「適格機関投資家」を追加する。この法人口座の対象拡大によって「上場法人」および「適格機関投資家」の方でも、夜間取引市場「kabu.comPTS」(8月以降に開始予定)でのお取引が可能となる。法人口座の口座開設および口座管理料は無料。手数料も個人投資家と同じ低料金でのネット取引が可能になる。 http://kabu.com/company/pressrelease/20060809.asp
★注目企業=IR情報+ニュースリリース
日本リテールファンド投資法人(8953)
08/08資産の取得に関するお知らせ【(仮称)ダイヤモンドシティ鶴見ショッピングセンター】
http://www.jrf-reit.com/ir/index.html
松下電器産業株式会社(6752)
□ICカードを利用したパソコン用セキュリティソフト「AegisLock Personal」を発売
http://ccml.panasonic.co.jp/p/c.do?cx_2DF_X_kqp
□環境にやさしいディーゼル電機用排出ガス冷却システムを開発・導入
http://ccml.panasonic.co.jp/p/c.do?cy_2DF_X_kqp

