過去の投資環境は? 相場はどう変化しているのか?今を知り、未来を読むためには過去の情報も随時追いかけることが重要です。今回は7月29日(金)の金融・経済情報をお送りします。
■再点検:賃金デフレ/
失業率が十分に低下なら、緩やかなコア賃金上昇が望める
クレディ・スイス証券チ-フエコノミスト(マネージング・ディレクター兼経済調査部長)の白川浩道さん(Hiromichi Shirakawa/ Chief Economist, Credit Suisse Securities Ltd.)は27日、「賃金デフレは終焉か?」というテーマを挙げ、賃金デフレの状況を再点検した――。
<賃金変化率の上方硬直性=未だにデフレから抜け出せないボトルネックのひとつ>
コア賃金(一般労働者の所定内給与)と失業率のフィリップス・カーブを見ると1998年以降、明らかに形状がフラット化している。すなわち、1997年以前は失業率という景気循環要因によってコア賃金が十分に説明されていたのに対して、1998年以降は、その循環的関係が崩れてしまったということである。2003-2008年の失業率低下局面でコア賃金が上昇しなかったことが、この平坦なフィリップス・カーブを形成している。弊社のこれまでの分析からは、このような賃金変化率の上方硬直性が、日本経済が未だにデフレから抜け出せないでいるボトルネックのひとつであると示唆されている。
賃金変化率の上方硬直性の本質的な理由は、需給を表す失業率以外の構造的変化が労働市場に生じており、それによる下押し圧力が、失業率の低下による僅かな賃金伸び率の上昇を相殺するほどに大きかったというものだろう。構造要因として考えられるのは、①労働者の年齢構成変化と②産業構造の変化である。一般労働者の所定内給与は、全産業・全年齢の加重平均値であるため、年齢別・産業別賃金水準が全く変化しておらずとも、労働者の年齢構成と産業構成が変化すれば、ヘッドラインの賃金水準は変化する。
▼6月鉱工業生産/
16業種中13業種の生産拡大=震災から復旧幅広く進展
大和総研・経済調査部チーフエコノミストの熊谷亮丸さん(Mitsumaru Kumagai / Senior Economist, Daiwa Institute of Research Ltd. DIR)は今朝、発表された6月の鉱工業生産について、「生産は着実な回復を続ける」として、次のようにクイックコメントした――。
【概況】生産は3ヶ月連続のプラス
2011年6月の鉱工業指数は、生産が着実な回復を続けていたことが確認できた一方、今後の回復ペースが幾分鈍化することを示唆する内容であった。6月の生産指数は市場コンセンサス(前月比+4.5%)を下回ったものの、前月比+3.9%と堅調な回復を示した。製造工業生産予測調査は、11年7月分の計画が前月比+2.2%、8月分が同+2.0%と5ヶ月連続のプラスとなったが、プラス幅は幾分低下する見込みである。ただ、予測調査に基づくと、8月の生産の水準は96.6となり、震災前の2月(97.9)の98.7%の水準まで回復することになる。4-6月期の生産指数は、東日本大震災の影響によって、前期比▲4.0%と4四半期連続のマイナスとなり、マイナス幅も1-3月期(同▲2.0%)より悪化した。出荷指数は、震災後の生産制約が解消し始めたことを背景に、前月比+8.5%と2ヶ月連続のプラスとなり、5月(同+5.3%)より伸び率が拡大した。加えて、在庫指数が前月比▲2.8%とマイナスに転じたこと、在庫率が同▲7.3%と大きく改善した点も注目されよう。
▼6月消費者物価/
今後注目点=震災・復興需要の影響&商品高騰受けた値上げ
大和総研・経済調査部チーフエコノミストの熊谷亮丸さん(Mitsumaru Kumagai / Senior Economist, Daiwa Institute of Research Ltd. DIR)は今朝、発表された6月の消費者物価について、「コアCPIは予想を下回る伸び」として、次のようにクイックコメントした――。
【1】全国コアCPIの伸びは予想を下回る
6月の全国CPI(除く生鮮食品、以下コアCPI)は前年比+0.4%となり、コンセンサス(同+0.5%)を下回った(図表1=略)。財・サービス別に前月からの寄与度の変化をみると、主にエネルギーや非耐久財(生鮮食品・エネルギーを除く)、一般サービスが押し下げ要因となった(図表2-1)。このところ震災の影響もあって東京都区部よりも全国の方が物価の上昇基調がやや強い傾向にあり、6月もその傾向が続くと見ていたが、実際はその傾向が見られず予想を下回った。ただし、7月の東京都区部の動きをみると食料品の値上げ等もあって物価の基調が強まっていることから、全国の物価も再び上昇基調が強まるとみられる。
▼今日の株価予想/
外部環境をにらみながら神経質な展開へ
T&Cフィナンシャルリサーチ(代表取締役・吉田恒氏/T&C FINANCIAL RESEARCH, INC.)は今朝、今日の株式相場の見通しについて、次のように予想した――。
東京市場は先物主導で神経質な展開となりそうだ。外部環境では特に米債務問題が重荷。米景気減速懸念も強まっており、今晩発表の米GDPなどの経済指標に対する為替への影響なども気になるところだ。
きょうは決算発表のピークで、前引け後やザラ場中に多数の決算発表が予定されており、決算発表後に乱高下する銘柄がみられそう。また、寄り前に6月の鉱工業生産が発表される。5月実績からは伸びが鈍化する見込みだが、7月から電力制限が実施されていることで製造工業予測にも注目だ。日経平均の予想レンジは9980円~9820円。
28日のダウ平均は前日比62.44ドル安と続落。一方、NASDAQは1.46ポイント高、S&P500は4.22ポイント下落して取引を終えた。 新規失業保険申請件数の結果が予想より強かったことが好感され買いが先行。ダウ平均は一時82.35ドル高の12384.90ドルまで上昇する場面があったが、共和党の修正案が上院で否決されるとの見方により米債務上限引き上げ問題への懸念が残った。ドル建てCME225先物は先週末の大証日中終値と比べ30円安の9870円、円建ては45円安の9855円で終えた。
話題の銘柄
6796 クラリオン/OEMでの抜群の成長力を評価、目標株価113円→217円
BofA MLでは、「12年3月期第1四半期の売上高は前年同期比14%減収の385億円、営業利益は同84%減益の1億円と推定(同社は7月27日に、第1四半期決算を発表。第1四半期営業利益は0.15億円の営業黒字となり、第2四半期累計営業利益を10億円の赤字から7億円の黒字へと上方修正した)。通期の売上高は前期比3%減収の1730億円、営業利益は同5.3%増益の52億円と予想する。OEM売上を64億円、市販売上を6億円修正した。ナビをオーディオで代替供給する取り組みや顧客の販売回復が予想以上であることがOEM売上上方修正の理由である。上期でのコスト削減努力も貢献して下期の収益は大きく好転しよう。13年3月期は、国内軽自動車向けライン装着ナビ及びカメラビジネス拡大、中国・インドなどでは新規OEMビジネスが始まる。震災影響を受けた生産抑制の解消もあり、売上高は2ケタ増収、営業利益は前期比69%増益の88億円まで回復しよう」と指摘。今2012年3月期連結営業利益を会社計画35億円(EPS4.3円)に対し従来予想34.6億円(EPS5.0円)から52億円(EPS7.9円)へ、来2013年3月期同79.8億円(EPS14.1円)から88億円(EPS18.1円)へ、2014年3月期同99.6億円(EPS20.3円)から101億円(EPS23.0円)へ増額。「従来はPBRで見たバリュエーションの割高感などから投資評価を『アンダーパフォーム』としてきた。しかし、サプライチェーンの早期回復に加えて、代替戦略などOEMビジネスのバックアップが予想以上に成功している点に今後はフォーカスしたい。中長期成長力を考えた場合、同社の豊富な顧客基盤は従来以上に価値あるものに変質していく可能性が高い。親会社日立製作所との強固な関係もプラスである」と指摘。投資評価を「アンダーパフォーム」から「買い」へ、目標株価を従来の113円から217円(13年3月期予想PER12倍)へ、それぞれ引き上げた。
トレーダーズ・ウエブ:http://www.traders.co.jp/
●東証IPO銘柄
■株式会社三栄建築設計 株式 (3228)
http://www.tse.or.jp/listing/new/8sanei.html
株式会社三栄建築設計は、都心部に近い利便性の高いエリアに4,000万円台 で分譲住宅を供給する為、自社による土地仕入・設計・施工を有し、高い技術 力で狭小宅地に「都市型3階建て」を企画・販売している会社です。土地一つ一つに間取りを入れデザインを行う「オンリーワンの家づくり」を年間1,000 棟供給しています。また、平成21年からスタートした請負事業でも分譲実績が評価され、高い契約率で成長しています。
会社ホームページ:http://www.san-a.com/
▼ドル相場予想/
米債務問題が解決なら、ドル高が大きく進む可能性
マットキャピタルマネジメント代表取締役CEOの今井雅人さん(Masato Imai/ President CEO, Matt Capital Management)は昨夕から今朝、FX相場の動向について次のようにコメントした――。
<28日>
依然として米債務問題が解決せず、ドルは上値が重い状況が続いています。28日のユーロドルに関しては、ユーロスイスが売られている影響などでユーロ売りドル高となっていますが、今の環境はドル安ですので、そのことを念頭に置いておきましょう。
とはいえ先日もお伝えしましたが、米債務問題が解決した場合、それを好感してドル高が大きく進む可能性があります。そのタイミングはかなり近づいていると思いますから、十分注意しておきましょう。もっとも、ドルが上昇しても、十分上昇したら、そこが天井になって再び値を下げることになってくると思います。今は下手に手を出すよりも、債務問題解決でドル高が進んだ際に、うまく天井近くで売れるよう、心構えをしておくのがいいかもしれません。
■復興債+復興増税と「悪い金利上昇」/
大別される2パターンの現実味と影響度は?
三菱UFJモルガン・スタンレー証券・デットリサーチ部チ-フ債券ストラテジストの石井純さん(Jun Ishii/ Chief Fixed Income Strategist, Mitsubishi UFJ Morgan Stanley Securities Co.,Ltd.)は28日、復興債/復興増税と「悪い金利上昇」は2パターンに大別されるとした上で、それぞれのパターンでの「悪い金利上昇」の発生可能性について、次のような見通しを示した――。
1つは、国債の供給が需要を大きく上回ることによって需給が緩和し、長期金利が需給の新たな均衡点を求めて上昇する<ケースA>。もう1つは、債券市場が政治の財政規律喪失などを嫌気し、長期金利が将来的な財政破綻リスクを反映して上昇する<パターンB>では債券市場が能動的に需給の均衡点を変えることで、長期金利に上乗せされる。
<ネガティブ・サプライズが生じやすくなる<ケースB>>
ポピュラーなのは<ケースA>だろう。<ケースB>は異例だが、稀に見られる。筆者はこれを"自己現実的な「悪い金利上昇」"と称し、<ケースA>と区別してきた。典型例は1998年末にぼっ発した"資産運用部ショック"である。この点、各定期レポートでこれまでも解説してきた。
両ケースの蓋然性はそれなりにある。ただ、債券市場があまり警戒していない分、<ケースB>の方により注意が必要だろう。ネガティブ・サプライズが生じやすくなるからだ。
今年度第3次補正予算案の編成は、お盆休み明け後の8月後半から9月にかけて、菅直人内閣の退陣(可能性)とともに具体的に動き出す見通し。債券市場は、早ければその頃より、国債増発による荷もたれ感に現実味を覚え始めるとともに、財政規律の低下リスクへの警戒感からもじわり高まるだろう。そこでまずは<ケースA>の蓋然性を考えるが、今のところ高くなさそうだ。
<<ケースA>の蓋然性、今のところ高くなさそうだ>
国債増発額を巡るコンセンサス予想は、(少々古いが)6月末頃のQUICK債券月次調査によれば、レンジが「ゼロ~30兆円」と広く、単純平均が9兆5,980億円だった。最大の関心事である市中消化額については、再頻値が5兆円、単純平均が6兆500億円。増発額はざっくり10兆円、うち市中消化額が数兆円という目線だ。財務相と市場との対話(国債市場特別参加者会合、国債投資家懇談会)において実際の増発計画が当たらずとも遠からずの数字に収斂していけば、当然、ネガティブ・サプライズは生じない。逆に目線から下振れするならば、ポジティブ・サプライズだ。
ちなみに、当方の予想は、増発額が約10兆円でコンセンサスと同じだが、市中消化額が約4兆円とやや少ない。個人向け国債と第Ⅱ非価格競争入札の上振れ分が差し引かれると見込んでいる。
▼NY貴金属相場/
メタルの内部要因的には、やはり頭が重たい展開
スタンダード・バンク東京支店(コモディティ・トレーディング)支店代表・副支店長の池水雄一さん(Yuichi Ikemizu/ Head of Commodity Trading, Japan, Standard Bank Plc)は、NY貴金属相場(Overnight Ranges)について、概ね次のようにコメントした――。
昨日は一日新たなニュースもなく神経質ながらもレンジ内での取引でした。メタルはドルの動きが堅調だったことを材料に弱含みでした。ドイツの財務大臣が、ドイツがヨーロッパの安定のためにブランクのチェックを切ることには反対、という発言を受けてユーロが売られドルが買われたようです。
メタルの内部要因的にはやはり頭が重たい展開。実需の売りがきいています。米国の問題がなければおそらくもうちょっと下がっているはず。ただそこがはっきりしないと、やはり大きく売り込むのはできないのですね。週末に向けてのポジション調整があるでしょうが、おそらくはここのところのレンジ内で週末を迎えそうです。
▼米欧商品市況/
NY原油=期近小反発:米指標改善や株高も戻りは限定的
投資情報会社オーバルネクスト(社長・坂元修二氏)発行のメルマガ『朝らく!最速コモディティ情報』(本日号)に掲載された28日の海外商品市況は次のようになった――。
◎NY原油=期近は小反発、米指標改善や株高も戻りは限定的
原油は期近が小反発。複数の米経済指標の改善や米株高などを好感したが、決め手となる支援材料は見当たらず、米債務上限引き上げ交渉の難航によるデフォルト(債務不履行)懸念などから、期近は中盤以降はリスク回避の動きなどに押された。
(オーバルネクスト/東京)
情報提供:株式会社オーバルネクスト:http://www.ovalnext.co.jp/
メールマガジン登録:http://www.mag2.com/m/0000049479.html
ニュース・チェック
★東証1+2部時価総額(28日)=294兆3078億円(前日比-3兆6689億円)
★ニュース・ヘッドライン
午前の東京株式市場=株価は軟調。依然として米国債務上限問題が重し。日経平均 が終値で前日比-7.64円安の9893.71円、またTOPIXも同-2.22安の846.15、JASADAQ-TOP20は同-15.75安の1452.70となった。業種別株価指数の騰落率ランキングでは、東証33業種のうち上昇したのは17業種。鉄鋼、食料品、鉱業などが上位を占めた。
午前の東京外為市場=為替相場は米経済指標を受けてドルがやや堅調。ドル円相場は77円台後半で推移、ユーロ円は111円台前半後半で推移している。
★注目企業=IR情報+ニュースリリース
いちよし証券(8624)
■平成24年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)
http://www.ichiyoshi.co.jp/stockholder/pdf/20110728_ksiryo_j.pdf
■自己株式の取得に係る事項の決定に関するお知らせ
http://www.ichiyoshi.co.jp/stockholder/pdf/20110728_kabu_j.pdf
ソニー株式会社(6758)
■2011年度第1四半期 連結業績のお知らせ
http://www.sony.co.jp/SonyInfo/IR/info/presen/
■ソニー株式会社 人事および機構改革
http://www.sony.co.jp/SonyInfo/News/Press/201107/11-082/
日本電気株式会社(6701)
■28日、当社の2011年度(2012年3月期)第1四半期決算を 発表いたしました。
売上高 6,691億円(前年同期比0.2%増)、営業損益 △194億円(前年同期比38億円改善)、経常損益 △296億円 (前年同期比108億円改善)、当期純損益 △297億円(前年同期比134億円改善)。 なお、上期の業績予想を震災の影響などを見極め、新たに公表しました。
http://www.nec.co.jp/ir/ja/index.html

